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イースタングリーン・ナイト イースタングリーン・ナイト ユニット-フロッグナイト 使用コスト:白1無3 移動コスト:白1無1 パワー:5000 スマッシュ:1 クイック (テキストなし) 「あー面倒くせー面倒くせー。こんな戦争、全員フロッグナイトにしちまえば簡単に勝てるっつうの。」~ロイヤルクラウン・ナイト~ 仲間たちの絆で登場した基本的な中型サイズのユニット。 能力的には月に吼える獅子とまったく同じだが、重要なのはフロッグナイトである点である。 このカードの登場により、中堅ユニットのいなかったフロッグナイトデッキに中盤のアタッカーが出来たこととなった。 プランゾーン効果は無いが、それは他のフロッグナイトが担ってくれるので問題ない。 中型ユニットではあるが、フロッグナイトの持つプランゾーン効果により大型ユニット並のパワーを得られる。 他の団結デッキの同じ役目のユニットに、 マスター一刀両断ブレード 反逆時計パラドクス エビダンサー 変幻獣バブルボックル がいる。 収録セット ファースト・センチュリー エキスパンション 仲間たちの絆(065/100 コモン) イラストレーター 塚本陽子
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特徴 軍人を持つカード ロイ・マスタング アレックス・ルイ・アームストロング リザ・ホークアイ アイザック・マクドゥーガル ジャン・ハボック マース・ヒューズ バスク・グラン エドワード・エルリック&ロイ・マスタング ハイマンス・ブレダ ヴァトー・ファルマン ケイン・フュリー 「氷結」のアイザック ヒューズ中佐 マスタング大佐 特徴 軍人に関連する効果を持つユニット リザ・ホークアイ 特徴 軍人に関連する効果を持つキャラ マスタング大佐
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マルチプレイの始め方 コールオブデューティ モダンウォーフェア(Cod MW)の初心者に向けて、マルチプレイの始め方について紹介しています。 目次 マルチプレイオプションクイックプレイフィルター 注目プレイリスト プライベートマッチ 初心者におすすめなゲームモードTEAM DEATHMATCH FREE-FOR-ALL DOMINATION GUNFIGHTS GROUND WAR 3種の初期ロードアウトAssault Ghost Heavy Support ランクについて マルチプレイオプション Cod MWではデイリーメッセージを閉じると、マルチプレイヤーメニューが表示されます。マルチプレイメニューでは次の3つのオプションを適用することができます。 クイックプレイフィルター クイックプレイフィルターでは、クイックプレイで遊べるゲームモードを制限することができます。遊びたいルールがある場合、そのルール以外を未選択にしてクイックプレイから除外することによって、好きなルールだけをプレイすることができます。 クイックプレイで遊べるルールは次の5種類です。 TEAM DEATHMATCH CYBER ATTACK DOMINATION SEARCH DESTROY HEARDQUARTERS 注目プレイリスト クイックプレイの下にある項目です。以下の4種のゲームモードが選択できます。 GROUND WAR GUNFIGHT FREE-FOR-ALL REALISM プライベートマッチ プライベートマッチでは、カスタムゲームメニューのゲーム設定からマップ、ゲームモード、ルール、ボットを設定することができます。 FREE-FOR-ALLでボットを相手にエイムの練習を行うことなども可能です。 初心者におすすめなゲームモード TEAM DEATHMATCH 制限時間内に先に一定のキル数に到達したチームか、ゲーム終了時のキル数が多いチームが勝利する最もシンプルなルールです。 FREE-FOR-ALL 制限時間内のキル数で競う個人戦です。勝利するのは難しいですが、味方がいない分誰にも迷惑をかけずにプレイできるので、練習にもってこいのモードです。 DOMINATION フィールド内に存在する3, 5本の旗を確保し、自チームの旗として防衛するゲームです。防衛することでポイントを稼ぎ、一定ポイントに到達することで勝利となります。 GUNFIGHTS 小さなフィールドで、2対2で行う簡易的なモードです。勝負はラウンド制で行われ、先に一定のラウンド数を選手したチームが勝者となります。装備セット(ロードアウト)は全員同じものが用意されるため、用意された武器への理解度が勝敗を分かつ鍵となります。 GROUND WAR GUNFIGHTSの対極に位置するようなゲームモードです。32対32という大規模なチーム戦を楽しめます。車両のスポーンもあるため、普段とは違い様々な方向から敵が攻めてくるため注意しましょう。 3種の初期ロードアウト ロードアウトにはメイン武器・サブ武器・PERK・リーサル・タクティカルの5種類の装備が設定できます。初めてロビーに入りマルチプレイを行うとき、次の3種類のロードアウトから選択することとなります。 Assault 長距離射撃から近距離までオールマイティーな戦闘が可能なロードアウトです。 Ghost ステルス行動に特化したロードアウトです。メイン武器のサプレッサーは、発砲時の音を抑えることができます。 Heavy Support ライトマシンガンをメインに添えたロードアウトで、大量射撃による制圧が可能です。 ランクについて CoD MWには、進行システムに「エンリストランク」「オフィサーランク」「武器レベル」の3つが存在します。 それぞれのランクに関してはこちらをチェック! ▲Topへ このページを編集する
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076 Wave Live! ◆H3I.PBF5M. 白み始めた荒野を駆ける影が五つ。 男が二人、少女が三人。どの表情も一様に暗い。 誰も、何も話さない。彼らはつい先ほどまで苛烈な戦闘の渦中にいたため、のしかかる疲労は無視できない。 しかしそれ以上に、その内の一人が放つ陰鬱とした空気が、誰かの発言を言外に封じていたためだった。 「……追ってきてねえ、な。もう走らなくてもいいだろ」 殿を務めていた青年、帝都の治安を護る特殊警察イェーガーズの一員であるウェイブが後方を確認し、言う。 修羅場慣れしているウェイブ、そして白井黒子にロイ・マスタングと違い、ここには高坂穂乃果、小泉花陽の二人の民間人がいる。 自分の足で走ってきたウェイブらと違い、二人は形態変化させた“魔獣?化”ヘカトンケイル――通称コロに乗っていた。 そのため息が上がっているはずもないのだが、陰惨極まる戦闘を潜り抜けたからか顔色は蒼白い。 ウェイブは彼女たちを安心させるため、あえて沈黙を破る決断をした。 エンヴィー、そしてキンブリーといった敵対者たちも、決して軽くはない疲労を負っているはずだ。 そこへ黒子たちを襲撃してきた男。こちらも味方だったはずの鳥を失い、単純に見れば戦力は半減しているはず。 両者ともこの状況で即座に追撃してくることはないだろうと、願望の入り混じった状況判断。 潰し合ってくれているのが最良の展開だが、それはまさに神のみぞ知るというところか。 「穂乃果、それに花陽。怪我はないか?」 「あ……はい。私はもう大丈夫……です」 ペット・ショップによって凍らされた花陽の腕は、既にマスタングによって処置されている。 感覚も戻ってきており、特に後遺症もない。 しかし花陽はそれを喜ぶ気にはなれなかった。隣にいる穂乃果が、先ほどからじっと唇を噛んでいることに気付いているからだ。 マスタングもその様子に気付いていたが、ウェイブの傷を応急処置することを優先して敢えて声はかけなかった。 「穂乃果、お前は」 「ワンちゃんは? ねえウェイブさん、ワンちゃんはどこ?」 彼らは五人。本来であればここにいるべき一人と一匹が、足りない。 一人、天城雪子はあの場で黒焦げの死体となっているのを全員が目撃している。それが誰の仕業かも。 一匹、イギーはウェイブだけがその最期の瞬間を見た。クロメと同じく“死者行軍”八房の餌食となった光景を。 コロに乗って走っている間、穂乃果はじっと目を凝らして周囲を観察した。 あの小さな犬はどこにもいない。ウェイブが歯を食い縛って走っている。 それだけで、理解してしまった。 「ワンちゃんだけじゃない。雪子ちゃんだって、さっきまでいたのにもういない。なんで? ねえ、なんで!?」 「穂、乃果……」 穂乃果は決してウェイブを責めているわけではない。しかしその言葉は刃となってウェイブの胸に刺さる。 決して慣れたくはないが、ウェイブは軍人だった過去に戦友を失う痛みを経験している。 ついさっきまでにこやかだった顔が、もう二度と笑わなくなる。その辛さを知っている。だからこそ、何とか耐えられる。 しかし穂乃果と花陽は違う。もしかしたら、青ざめた顔をしている黒子もそうかもしれない。 穂乃果を宥めようと口を開きかけた黒子をウェイブが制する。 誰に向けたものでもないとしても、それを受け止められるのはこの場でウェイブしかいない。 年齢的には一番幼い黒子、ましてやマスタングにその役目を押し付けることはできなかった。 深く息を吸い込み、腹に力を入れる。涙を浮かべた穂乃果の眼を真っ直ぐに見返す。 「すまねえ、俺のせいだ。俺がもっと強かったらあいつは……ああ、くそっ。 何度も助けられたのに、俺はあいつの名前も知らねえってのか……!」 犬ころ、と言いかけて止める。あの犬にだって名前があったはずだ。飼い主か、あるいは犬同士の間で呼ばれる、あの犬だけの名前が。 それすらも知らないまま、逝かせてしまった。穂乃果の悲しみを受け止めると決意したはずなのに、揺らぐ。 ウェイブにとっても、イギーの死は決して小さなものではないのだ。 固く握り閉めた拳から血が滴る。 「っ……。そ、それに、雪子ちゃんをこ、ころ……殺したのって、マスタングさんなんでしょ!?」 ウェイブが何も言えなくなって、穂乃果は後悔するように唇を震わせた。 しかし次に吐き出された言葉はマスタングへの糾弾。イギーの死に匹敵するほどの、決して無視できない事実だ。 「……そうだ。私の過失だ。私が、天城雪子を殺した。この手で」 沈んでいたマスタングが穂乃果の言葉に反応して顔を上げた。 生気の感じられないその眼は、マスタングが相応に精神的なダメージを背負っていると容易に推察できるものだ。 しかしマスタングに対して猜疑心を持っている穂乃果からすれば、感情のない冷徹な殺人者としか思えなかった。 「なんでっ……なんであそこまでする必要があったの!? エンヴィーって人のときと同じだった! あんなに何度も焼かれなかったら、もしあなたがもっと手加減してたら、雪子ちゃんは助かったかもしれないのに!」 「……ああする必要があった。エンヴィーに対しては。 私にやりすぎと言ったな、ウェイブ。違うんだ……あれでもまだ足りない」 「足りないだと? あれでか」 穂乃果から目を逸らし、マスタングが細々と反論する――穂乃果ではなく、ウェイブに向けて。 「ホムンクルスは、常人なら死ぬダメージを受けても瞬時に再生する。 それは奴らが生きているのではなく、賢者の石という物質から力を汲み上げて肉体を再構成するためだ。 首を刎ねようが五体を粉々にしようが、賢者の石さえ無事なら奴らは何度でも元通りに復活する」 「なんですの、それ……それだけのエネルギーが存在するはずは」 「何かを得るには相応の代価が必要になる。それが錬金術の基本原則たる、等価交換。 それを無視できるのが賢者の石であり、その力で存在するのがホムンクルスだ」 「だからお前は、あんだけ執拗にエンヴィーを焼いたってことか……」 「広川という男の言葉を信用するなら、この首輪を爆破すれば奴も死ぬはずだが……あれだけの焔を叩き込んでも首輪は無事だった。 禁止エリアに踏み込ませる以外の外的作用では、首輪を起爆させることは不可能なのだろう。あるいは姿形を自在に変化させられるエンヴィー専用の特別な首輪かもしれんが」 故に、エンヴィーあるいはエンヴィーと目される者に対して、一切の手加減は許されない。 常に最大火力で徹底的に灼き尽くすしか、その脅威を根絶する手段はない。 言葉を切ったマスタングに対し、誰も、何も言えなかった。 理がないわけではない。結果的に雪子を誤って殺してしまったとはいえ、あの状況でのマスタングの行動は、決して間違ってはいなかった。 「でも……死んだのは、エンヴィーじゃなくて雪子ちゃんなんだよ」 しかし同時に。 マスタングがもっと冷静に事態を見極め、焔の威力を調節していれば、雪子は死ななかったかもしれない。それもまた事実。 であるならば、後はその判断を理解できるかどうか。 ウェイブと黒子は、戦う力を持たない一般人を守るという役職から理解できる。 花陽は短い間ながらマスタングとともに行動しその人柄を知っているため、理解とまではいかずとも納得することができた。 しかし穂乃果はどちらでもない。さらにイギーを失い、精神的に不安定でもある。 いくら論理的に正しかろうと、実際に殺人を犯したという事実の前には到底、理解も納得も不可能だ。 「雪子ちゃんが死ぬ必要なんてなかった。きっともっと、やりたいこととか叶えたい夢とかいっぱいあったはずなのに! それを全部、全部奪ったのは、マスタングさんなんだよ!」 「……返す言葉もない。すべて、私の責任だ」 「穂乃果、落ち着けよ。いまマスタングを責めたってどうにもならないだろ」 穂乃果はマスタングを受け入れられない。 それは仕方ない。常識的に考えれば、ある程度理解を示しているウェイブの方がおかしいのだから。 しかし、この状態が長く続くのも良くない。離脱できたとはいえここはまだ戦場に近い。 今のところ追ってくる気配はないが、あまり長居すればやがてまた鉢合わせるだろう。 「ひとまずどこか、安全な場所に行こう。そうだな、イェーガーズ本部なんてどうだ? あそこならきっと隊長とセリューも目指してるはずだから合流できる」 「そうですわね、まずは身体を休めませんと。DIOの館……は近づきます。私もイェーガーズ本部を目指すのに賛成ですわ」 空気を切り替えるべくウェイブが次なる目的地を提案、黒子が同意した。 マスタングと花陽も頷く。誰もが疲れきっており、それ以上の言い合いを内心避けたかったからでもある。 ウェイブは穂乃果に目をやる。その視線から逃げるように目を逸らされるが、反対はされなかった。 「よし、じゃあ穂乃果、またコロをでかくして」 『誰かいないかにゃあ。返事をしてほしいにゃあ』 くれ、とウェイブの言葉の末尾がかき消された。 響き渡ったのは、どこか棒読みな口調の少女の声。 周囲を見回しても人影はない。どこか遠くから、声だけが届いているのだ。 『皆、聞こえてたら返事をしてほしいにゃ。私はここだにゃ』 「この、声……!」 「これはさっきと同じ……拡声器、ですの?」 声の割れ具合から、ついさっき聞いた助けを呼ぶ声と同様の方法で呼びかけているのだと黒子は判断する。 誰かがまた襲われているのかと緊張を張り詰めた一行の中、穂乃果と花陽だけは違う反応を見せていた。 「花陽ちゃん、この声って……!」 「うん、間違いない! これ、凛ちゃんの声だよ!」 先ほどとは一点、花が咲いたような笑顔を見せる二人の少女。 この声の主は二人の知り合いなのかと、ウェイブが気を抜いたように頬をほころばせる。 「どこから呼んでるんだろう? 早く迎えに行ってあげないと!」 「……いや、待て。この声が本当に君らの友人だとは限らない」 降って湧いた朗報に湧く少女たちを、しかしマスタングが止めた。 花陽と手を取り合って喜んでいた穂乃果が、目を見開いてマスタングを見る。 「どういう、ことですか?」 「わかっているだろう。この声の主がエンヴィーかもしれないということだ」 言われ、ウェイブもその可能性に気づいた。姿を自由に変えられるなら、声もまた同様なのではないかと。 思い返してみると、さきほど会ったクロメの声はまさにクロメそのものだった。 クロメが生きている内に出会っていたのか、あるいは姿を真似ると声も勝手に同じになるのか、それはわからないが。 「奴は我々の情報が記載されている名簿を所有している。当然、君らの友人の声を出せば君らが釣れるということも理解しているだろう」 「だから……何です? 凛ちゃんが呼んでるのに無視しろってことですか?」 「いいや、本人の可能性も否定出来ない。だから全員ではなく、私が行く。そう言っている」 声だけでは本物かエンヴィーの化けた偽者か、確率は半々。 そして本物であればいいが、エンヴィーだった場合。再び戦いになるのは確実だ。穂乃果と花陽がいれば、また彼女らを守るために気を回さざるをえない。 それを防ぐため、マスタングは自分とウェイブがまず確認に向かう。離脱に向いた能力のある黒子は二人の護衛に残す。 ウェイブを連れて行くのは前衛を任せるためと、自分自身の暴走を防ぐストッパーのため。 冷静に現在の状況を考えればそれがベストであったし、そう続けようとした。 「何ですか、それ……それでまた、雪子ちゃんのときみたいに、凛ちゃんまで殺すつもりなんですか!?」 だがマスタングの説明の前に、穂乃果が暴発した。 言い方が悪かったのもあるだろう。しかしそれ以上に今の穂乃果は、マスタングへの信頼がゼロに近い。 一度落ち着いた穂乃果の精神は、ここに来てまた噴き出してしまった。 「あんなに何度も何度も、雪子ちゃんは苦しんだっていうのに、あなたはまた!」 「待て、私は同じ過ちをする気はない。今度こそ必ず」 「そんなの、信用できるわけない! あなたの言うことなんて、信じられるわけないよ!」 「ほ、穂乃果ちゃん、落ち着いて!」 「花陽ちゃん、行こう! 私たちで凛ちゃんを助けに行くんだ!」 ウェイブはコロを穂乃果に預けていた。 先ほどの戦いではウェイブが使って鳥を食わせたものの、帝具とは本来、使い手が定具に対して抱く第一印象がその適性に直結する。 セリューという本来の使い手を知るウェイブでは、どうしてもコロに新しいイメージを抱けない。 故にセリューを知らず、また戦闘能力のない穂乃果の自衛手段、また足になることもあって、コロは穂乃果のものになった。 それが災いした。穂乃果は花陽の手を取ってコロを巨大化させ、見上げるマスタングを置き去りにして走り出す。 声の響いてくる方角。すなわち、先ほど逃げてきた戦場の方向へ。 「ッ、待て!」 「馬鹿野郎、穂乃果たちを殺す気か!」 とっさに両掌を叩き合わせたマスタングに仰天し、ウェイブが後ろから跳びかかって止める。 その動作が焔を生む準備段階と知っていたからだ。 「離せウェイブ! 焔ではない!」 マスタングがウェイブを叱責する。 事実として、マスタングはそのとき、焔ではなく土を錬成してコロの足を絡め取ろうとしていた。 しかしウェイブは、マスタングに何ができて何ができないのか、全てを知っているわけではない。 焔で穂乃果たちを止めようとしたと勘違いしても無理はなかった。 経緯はどうあれ、結果としてマスタングの錬金術は中断させられ、機を逸した。 男たちの見ている前で、穂乃果と花陽を乗せたコロが走り出す――寸前。 「はい、ストップ。ちょっと落ち着きなさいな」 忽然と姿を消した黒子がコロの頭上、穂乃果と花陽の背後に現れた。 二人を掴み、再度のテレポート。三人の少女が地面に降り立つ。命令者を失ったコロが待機状態に戻る。 「ご友人の元へ急ぎたい気持ちは理解しますの。でも、ここでバラバラになるのは決して得策ではありませんわ」 黒子が小さくなったコロをバッグに押し込む。 移動手段を奪われた穂乃果が食って掛かろうとするが、黒子はその眼前にすっと手を掲げて制する。 「何も見捨てる、あるいは行くなと言っているわけではありませんわ。単独行動は危険だと申し上げているのです。 マスタングさんも、少し言葉が足りないのではありませんか?」 「ああ……その通りだ。参ったな、君が一番年少なのに一番冷静なようだ」 ウェイブともみ合ったままのマスタングが苦笑する。黒子は冷静さを欠いたマスタングよりよほど客観的に周囲を見ていたのだ。 もちろん彼女もウェイブと同じく、マスタングが焔を放つのかと一瞬驚きはした。 しかしウェイブがマスタングを止めるだろうと信じ、自分は穂乃果の方を担当した。 「……私としても、この呼びかけが罠であるかどうか判断はできかねます。 しかし、真に助けを求める声であるかもしれないという可能性がある以上、見過ごすこともできません」 「じゃあ、行ってみるしかねーな。今度は全員で、よ」 「おい待てウェイブ、それでは……!」 「危険なのもわかるけどよ、お前だけじゃこの声の娘が穂乃果たちの知り合いかどうか、ちゃんと判断できねーだろ?」 ウェイブが黒子に続く。 マスタングとしては、ウェイブと二人だけで行くのが最善だった。無用な危険に少女たちを巻き込むこともない。 しかし、マスタングたちだけでは本物か偽物かの区別をすることは困難ではある。 「だが、彼女たちを危険に晒すことになる」 「……それはどうしようもねえ。だが、この島ではどこにいたって危険なことに変わりはねえんだ。 だったら近くにいて守る方が、まだ俺は安心できる。お前はどうだ?」 「む、しかしな」 「あっ……あの!」 そのとき、花陽が手を挙げた。またもマスタングに噛み付こうとした穂乃果の口を塞ぎつつ。 「私も、凛ちゃんを迎えに行きたい……です。もし本当に凛ちゃんだったら、私と穂乃果ちゃんが見たら絶対にわかります。 だから、あの、その……連れて行ってください!」 「うううむううががもが!」 よほど強く押さえているのか言葉になっていないが、穂乃果の言いたいことも花陽と同じなのは間違いない、とウェイブは思う。 少女たちは自分よりも友人の身を案じている。それは、マスタングが彼女たちを心配するのとどう違うというのか。 二人を守らなければいけないのは確かだ。しかしそれは、彼女たちがウェイブやマスタングよりも下の立場だから、ということにはならない。 彼女たちが望み、またそうするに足るだけの理由があるのなら、その意志は尊重されるべきだ。 「マスタングよ。俺たちが守ればいいんだよ。今度こそ、絶対にな」 「……ウェイブ。しかし」 マスタングは未だ納得していない。 どうすればこの堅物を説得できるか……ガシガシと頭を掻き、息を吐いて踵を返したウェイブの視界に。 遠方から砂を蹴立てて走ってくる、巨大な影が飛び込んできた。 「……敵だッ!」 弛緩した空気を吹き飛ばすように一喝して、腰に佩いていた剣を抜く。 あれは誰だとか、穂乃果の仲間がどうとか、そういった余計な考えは吹き飛んでいた。 見た瞬間にわかった。あれは敵だ。対話の余地のない、純粋なまでの敵意の塊。 戦士としての本能が告げている。あれとは殺すか殺されるか、それ以外の関係にはなりようがない、と。 「あの男は……追ってきたんですの!?」 「じゃああいつが、鳥と一緒に襲ってきたっていう奴か!」 「ええ、気をつけてくださいまし。かなり強めに攻撃したのですが、びくともしませんでした。痛みを感じる様子すら」 「見た目は人間でも中身は違うってことか……!」 「下がっていろ、みんな!」 瞬く前に近づいてくる男に向かい、マスタングが両手を叩き合わせる。 これだけの距離があるなら錬成の隙など無視できる。無警告、かつ全力の一撃。 穂乃果が何度も責め立てた、容赦無い焔の洗礼。しかしそれを咎める者は誰もいなかった。 一度襲われた経緯もあるが、それだけではない。誰もがその姿を一目見た瞬間に本能的に理解していたのだ。 あれは、禍々しいモノだ、と。 大地を舐めるように奔る焔の波が男の影を呑み込んだ。 「やったか!?」 「いや……跳んでやがるッ! 黒子、二人を頼む!」 ウェイブがマスタングの首根っこを掴み、強引に引っ張って後退させる。 直後、空から一直線に降ってきた刃が、一瞬前までマスタングの頭があった位置に突き刺さった。 「何だ、こいつは……!」 着地した男のシルエットが、変わっていた。 数秒前までは確かに人の形をしていたはずだが、今の男は両足がひどく肥大していて、本来足首から踵にあたる部分が異常に長くなっている。 まるで関節を一つ増やしたような、跳躍に適した構造に。あの両足でマスタングの焔を飛び越したのだと、眼にしてようやく理解する。 「大火力をただぶちまける。雑な攻撃だ。回避は難しくない」 「何だ……何なんだ、てめえは!?」 「後藤だ」 ウェイブの誰何に、意外なことに男――後藤は律儀に答えた。ただし、刃に変化させた右腕とともに。 黒の剣エリュシデータで受ける。鳴り響いたのは金属音。 身体の一部を変化させたものであるくせに、相当な業物である黒剣と打ち合っても押し負けはしない。 気合を込めて後藤の刃を弾く。追撃しようとした後藤だが、瞬時に手を合わせたマスタングの焔が迫ったことで後方へジャンプ、仕切り直した。 ウェイブは一合の切り結びで直感した。こいつは強敵だと。 少なく見積もっても特級の危険種に匹敵――あるいは超級にまで届くかもしれない。 人外という意味では先程のエンヴィーもそうだ。しかしこの後藤には、エンヴィーには見られた驕りや遊びが一切ない。 精確に、確実に、敵を倒す。目標に向かって一直線に進む強固な意思を感じる。 それこそ万全の状態のウェイブでも、勝てるかどうかは未知数だ。そう思わせる凄みが、この後藤にはあった。 「グランシャリオさえあれば……なんて、言ってられねーな。今ある全部でやるしかねえ……!」 そして脅威を強く認識したウェイブの背後で、穂乃果と花陽の表情は驚愕に染まっていた。 今しがた後藤という男が発した声が、さっき聞いたばかりの星空凛の声そのものだったからだ。 「あ、あなた、その声は……?」 「……? ああ、そうだったな。戻すのを忘れていた」 穂乃果の呟きが聞こえたか、後藤が喉に手をやる。 筋肉が不気味に蠕動し、僅かな呼気が漏れる。 「……これで元通りだ」 「声真似かよ、くそっ!」 「お前たちと同じ衣服を着た人間を見た。あの人間の声を聞けば、足を止めるだろうと考えた。結果は、予測通りだったな」 後藤がバッグから拡声器を覗かせ、ウェイブは思わず舌打ちした。 先ほどの声は後藤の罠であり、自分たちはそれにまんまと引っかかって追いつかれてしまったのだ。 「どうして、どうしてあなたが凛ちゃんの声を出せるの!?」 「寄生生物は声帯を操作できる。一度聞いた人間の声を真似ることなど造作もない」 「凛ちゃんと会ったの!? どこで!?」 「質問が多いな」 「答えてよ!」 「ここから北、C-5エリアだ。今はもうそこにはいないがな」 またも律儀に、後藤は穂乃果の質問に答えた。別に隠す理由もないとでも言うように。 しかしウェイブは気が気ではなかった。いつ後藤が穂乃果にあの刃を放つか、それを自分が防げるのか、そればかり考えていたからだ。 「C-5……行こう、花陽ちゃん!」 「行かせると思うか? お前たちは中々歯応えがある。ここで俺と戦え」 当然、後藤は親切心から教えてくれたわけではない。 余計なことはどうでもいい、ただ戦いたい。それだけを思考し、また他者にも強要する。 相対した経験のない、しかしそれでも本能が叫ぶ。こいつはこれ以上なく危険な、即刻倒すべき悪なのだと。 汗で湿った掌が滑らないように気をつけながら、ウェイブは後藤の一挙手一投足を見逃さないよう凝視する。 「黒子。穂乃果と花陽を連れて逃げろ。こいつは俺とマスタングで狩る」 「何を言ってるんですの、私も!」 「わからねえのか!? こいつはヤバい……今度ばかりは、穂乃果たちを守りながら戦ってる余裕はねえ! それに、お前の攻撃は効かなかったんだろ。多分、俺の剣でも同じだ。だったらこの場であいつを何とかできるのは、マスタングしかいない」 しかしマスタング一人では、接近戦に対応できない。だからこそ、ウェイブが残ってマスタングの前衛を務める。 これが唯一にして最善の方法だ。黒子がいたところで大した援護はできない。しかし黒子は離脱、撤退に向いた能力がある。 穂乃果や花陽が殺されればその時点でこちらの敗北だ。戦力的にではなく、精神的に。 ならば黒子を二人の護衛に当て、男たちが残って戦う。それ以外にない。 「行け、穂乃果。友達が本当にC-5にいるかはわからねえが、少なくとも今ここでお前ができることは何もねえ」 「ウェイブさん、私もコロちゃんを使えば」 「駄目だ! お前はセリューじゃない。コロを使えたって、それで『戦える』わけじゃねえんだ!」 「で、でもそれじゃウェイブさんがまた危ない目に……!」 「いいんだよ、それで。人々を守るのが軍人の、特殊警察イェーガーズの任務だ。それが俺の仕事なんだよ。 心配すんなって。俺とマスタングだけなら、あんな奴すぐに片付けて合流できっからよ」 ウェイブが穂乃果に笑いかける。この戦いの勝算がかなり低いということは、とても口にできなかった。 エリュシデータにも匹敵する硬度の刃。黒子の攻撃を防いだという事実から、おそらく全身の肌もそれくらい硬くなると推察できる。 それでもマスタングの焔ならば通じるだろう。しかし問題は、あの強烈な反応速度の速さだ。 先ほどマスタングの焔を回避したとき、後藤は明らかに焔が生まれる前から回避動作に入っていた。 手を合わせるというモーションが必要な分、マスタングの攻撃は読みやすい。 だからといって、遠距離からそれを織り込んだ回避、そして攻撃に繋げるというのは尋常ではない。 先ほどのエンヴィーたちとの戦いに一枚噛んでいたのなら、マスタングの能力を大方把握していてもおかしくはない。 つまり後藤は、マスタングだけが自分に致命傷を負わせられるのだと知っている。 マスタングを守ろうとするならば、ウェイブはかなりの無茶を強いられる。そして、ウェイブは後藤と違って耐久力がない。 帝具のない生身の状態では、急所に一撃貰えばそれだけで死ぬだろう。 ウェイブが倒れればマスタングも程なく後を追うことになる。それまでに後藤に警戒されている焔を叩き込めるのかどうか。 後藤を睨みつつ、頭の中で幾通りもの予想を組み立て、破棄し、また新たなパターンを探る。どうすれば勝てるのか、どうすれば切り抜けられるのか。 「悪いなマスタング、嫌とは言わせねえぜ。ここは俺と命を張ってもらう」 「君と二人で奴とデートか。色気のない話だ」 「ははっ、違えねえ」 ザッ、とマスタングがウェイブの後ろに陣取る。いつでも焔を放って援護できる位置。 とにもかくにもまずは穂乃果たちを逃がす隙を作らなければ。 あの跳躍を見せられては、ただ逃げるだけでは足りない。何としても一撃与えて、追撃のできない状態に持ち込まなければ。 マスタングが両手を合わせる。生まれる業火、戦端を開く兆し。 「またそれか。芸がないな」 跳躍でそれをかわそうとした後藤だが、その視線がマスタングのそれと激突。 後藤は上空に逃れようとした体勢から急遽後方へと進路を変更。全力で跳躍した。 果たしてその判断は正しかった。一度目の業火が襲い来た後、音高く指が弾かれ間髪入れず二発目の爆炎が追ってきたからだ。 身動きの取れない上空で受ければ一瞬で蒸発していただろう。 人間たちからかなりの距離を取った、いや取らされてしまう。 「よし……ウェイブ、道を作る! 私が合図したら斬り込め!」 「応よ!」 ひとまず後藤を追い払うことに成功したマスタングは、続けて両手を打ち合わせた。そして、硬く握り込む。 手合わせの音を次の攻撃の準備と信じているウェイブは振り向きもしない。 その後頭部を、マスタングは固めた拳で思い切り殴りつけた。 「……っ」 「マスタングさん!? 何をしたのですか!」 後藤に向けて気を張っていたウェイブには、まったく予期しない方向からの痛打。それは容易くウェイブの意識を刈り取った。 マスタングは音もなく崩折れたウェイブを担ぎ上げ、剣も回収してバッグに突っ込んだ。 「黒子、ウェイブも連れて行け。ここは私だけで十分だ」 「何を言っているのです! 一人であいつに勝てるわけないでしょう!」 「そうだな。それは、一人でも二人でも、いや全員でも同じだ。我々は消耗しているが、あいつはおそらく万全だろう。 これはな黒子、誰があいつを倒すという戦いではない。誰があいつを足止めするかと、そういう戦いなのだ」 「だからあなたが残るとおっしゃるのですか?」 「君に同じことは無理だろう。君では奴の防御を突破できんし、穂乃果と花陽を連れて逃げるという役目もある。 そしてウェイブは、こいつはこんなところで死なせていい人間ではない。こいつはきっと、我々のように殺し合いに抵抗する者たちの大きな希望になる。 ならば消去法で、残るのは私というわけだよ」 敗れた即席発火布を付け替えて、マスタングは一人戦場へと歩み出す。 その背中はひどく朧気だ。焔の熱気だけではない。あれでは、まるで。 「お待ちなさいマスタングさん! あなた……死ぬつもりですの?」 「私とて自殺願望などないさ。なに、やるだけやったら私も逃げる。それは一人の方が都合がいいのだよ」 マスタングは振り向かず、あえて軽い口調で突き放すように言った。 しかし言葉に込められた覚悟は揺るぎない。死地を見定めた男の言葉だった。 「行くんだ花陽。怖がらせてしまって済まなかった。君が友人と再会できることを願っている」 「ま……マスタングさん!」 「そして穂乃果」 びくり、と声をかけられた穂乃果が震える。 マスタングがこんなことを言い出したのは、死ぬとわかっていてそうしようとしているのは。 穂乃果に糾弾されたことが、原因の一つではないかと。そう考えていたからだった。 「あ……あの、私、そんなつもりじゃ……」 「別に君のせいではないから、気に病むことはない。これが最善なのだ。君にとっても、私にとっても」 「で、でも!」 「君の言うとおりだ。私は人殺しだ。ああ……だからこそ、ああいう化け物の相手は私がするのが相応しい。 生きろ、穂乃果。最期にせめて、君らを守れたという救いを、私にくれ」 それは断固たる、決別の言葉だった。 揺らめく焔の向こうで、体勢を整えた後藤が動く。 もう、時間はない。 「行け、黒子! 君は戦えない者を守るのだろう! だったらここで、守るべきものを見誤るな!」 「……っ、皆さんを安全な場所まで送り届けたらすぐに戻ります! それまで、どうか……!」 マスタングの背後から、人の気配が消える。白井黒子のテレポート能力。 仮に後藤が遠距離にいる人間を追跡する手段を持っていたとして、それが離れていくのであればいずれ捕捉はできなくなるはずだ。 あとは、彼らが安全な場所に離脱するまで、後藤を押し留めなければならない。 「……残ったのはお前だけか」 「すまんね、むさ苦しい男が歓迎役で」 「構わん。俺の狙いもお前だ。さあ、全力で俺を打ち砕いてみせろ」 やがて現れた後藤に向かい合い、ロイ・マスタングは意識を細く針のように集中させていく。 おそらくは人生最強の敵。 かつて渡り合ったホムンクルス、“最強の矛”ラストや“最強の眼”ブラッドレイに勝るとも劣らない、人のカタチをした絶望。 「だが……焼けば死ぬ。“お父様”ほどではない」 ならば勝ってみせよう。 後に続く仲間たちのために、己と引き替えにしてでもこの脅威を灼き尽くしてみせよう。 それが“焔の錬金術師”ロイ・マスタングが己に課した、贖罪の証。 「鋼の、後は頼んだぞ……!」 何処とも知れぬ場所にいるだろう戦友に託す。どうせ奴も、誰かの為に戦っているのだろう。 ならば、ここで退いて笑われる無様を晒すわけにはいかない。 不退転の決意と共に、マスタングの両掌が高らかに打ち鳴らされた。 ◆ 「ウェイブ、まだ寝てる? そろそろ起きないと任務に遅れるよ」 ……なんだ、クロメか。もうそんな時間か? 「遅れたら、きっと隊長がすごく嬉しそうにお仕置きするかも」 うおおおお! それは嫌だ! 起きる、今すぐ起きる! ……あれ? なんかおかしくないか? 「何が?」 いや、何がって。 任務? 任務って何だっけ。 「またナイトレイドが出たんだって。昨日も二人被害者が出た。今日の任務は、標的の一人と推測される人物の護衛」 ああそっか、ナイトレイドか。あいつらは、俺たちの敵だもんな。 ……敵? ナイトレイド……? んん、そうだったか? ナイトレイドが、俺の敵だったか? 「何言ってるのウェイブ。まさかナイトレイドに共感してるの? それはいくらなんでも、イェーガーズだからって許されることじゃないよ」 いや違うんだ、そういう意味じゃない! ついさっきまで、ナイトレイドじゃない別の奴らと戦ってたような……そんな気がして……。 「なにそれ。夢でも見た?」 夢……そうかもしれない。 そうだな、夢に決まってるよな。お前が、死んだ……なんて。 「変なウェイブ。あっ、もうみんな集まってる。隊長、セリュー、ボルスさん、ラン。みんないるよ」 みんな……そうだ、俺の、仲間……。 俺はイェーガーズで、帝都の治安を乱す輩を狩る……それが俺の……。 「さあ、ウェイブ。行こう? あなたの、私たちのいるべきところへ」 俺の、いるべきところ……。 …………。 そっか。 夢を、見たんだな。 「いつまで寝ぼけてるの。ほら早く。隊長の顔がどんどん笑顔になってくよ」 悪いな、クロメ。 俺は、お前と一緒には行けない。 「何言ってるの? 任務放棄は重罪だよ?」 だから、だよ。 俺は、俺のやるべきことを放り出して、そっちに行くわけにはいかないんだ。 「やるべきことって何? ナイトレイドを狩ること以上に大事な用事があるの?」 ああ……仲間が、戦ってるんだ。 なのに俺一人だけ、ここでこうして……楽になることは、できない。 「私と一緒にいてくれないの?」 ……ああ。 俺はまだ、生きてる。 そしてクロメ……お前はもう、死んだ。 俺はまだ、お前のところに行くことは、できない。 「……どうして? その仲間って、私より大事な人なの?」 そうじゃねえ、どっちが大事とかじゃねえんだ。 俺は生きてる。なら俺は、この命がある限り、戦い続けなくちゃならねえ。 生きて、戦って、治安を乱す悪を狩る。それが軍人として、イェーガーズとして、今ここにいる俺が進む唯一の道なんだ。 「私のこと……忘れるの?」 忘れねえ! 忘れられるわけがねえ! 何で、なんで死んじまったんだよクロメ! 俺が近くにいたんだぞ! 何で俺は間に合わなかったんだ! 何でお前が八房の死体人形になんかなっちまったんだよ! それじゃあべこべじゃねえか……。 「なんだ。私、八房で死んだんだ。じゃあずっと、ウェイブと一緒にいられるんだね」 違う! お前は死んだんだ! 死んだら、もう一緒にいることなんてできねえ! 八房の力で動けたって、それはお前じゃねえんだ! 「ウェイブは、私と一緒にいられるから、私と一緒に行かないんじゃないの?」 違う……。 俺は……戦いに行くんだ。 お前を殺した奴を、お前を弄ぶ奴を狩りに。 そして、仲間を殺そうとする奴を狩りに。 そこにはもう、お前はいないんだ。 「私がいなくてもウェイブは大丈夫なの? 嫌じゃないの?」 大丈夫じゃない、嫌に決まってるだろ……。 でも、でもよ。 だからってここで逃げるような俺をお前に見られるのは、もっと嫌なんだよ。 「どうして?」 俺は、お前の見てる前では、強い俺でいたいんだ……。 逃げたくないんだ。お前に、弱いって思われたくないんだ。 ……俺、行くよ。 俺が誇れる俺でいるために。 お前の隣にいて恥ずかしくない、俺になるために。 「ウェイブ……」 だから……さよならだ、クロメ。 「そっか。うん、そうだね……ウェイブは、そうでないとね」 許して、くれるか? 「いいよ。そっちには隊長もセリューもいるからね。ウェイブは一人じゃないよ」 ああ、そうだな。 それに、他にもいるんだ。会ったばかりだけど、何ならイェーガーズにスカウトしたいような奴らがさ。 あいつらと一緒なら、俺は……戦える。 「うん……わかった。じゃあ私は、ここで待ってる」 待ってる? 「今は無理でも、いつか。いつかまた、会えるよね?」 ああ。約束する。 いつになるかわからねえけど、また必ず……会える。 そのとき胸を張れるように、俺、頑張ってみるからさ。 「ふふっ。ウェイブ、最後に一つだけ……」 クロメ? 「ウェイブは強いよ。私が保証する」 ……ありがとよ。 その言葉だけで俺は、何とだって戦える……! 「行ってらっしゃい、ウェイブ」 ああ! 行ってくる、クロメ! ◆ 「どうしよう花陽ちゃん、私のせいだ、私の……」 「違うよ穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃんのせいじゃない!」 「でも、私がマスタングさんを追い詰めたから……!」 ウェイブの意識を覚醒させたのは、言い争う少女の声だった。 ずきりと後頭部が痛む。痛むのは生きている証だ。 ならば何故、俺は生きている? ウェイブは自問する。後藤の攻撃を食らったのなら、こうして生きているはずがない―― 「っ、なんだ、何がどうなった!?」 「ウェイブさん……っ」 「穂乃果……!?」 ウェイブの眼に飛び込んできたのは、泣きじゃくる穂乃果だ。花陽も眼に涙を湛えている。 首を巡らす。穂乃果がいる。花陽がいる。黒子もいる。コロもいる。マスタングだけがいない。 「……そういうことかよ。くそっ、あの野郎」 コロを止めさせ、地面に降りる。 自分を含めて四人もの人間を繰り返しテレポートさせたため、黒子の消耗は特に激しい。 「黒子、俺はどれくらい気絶してたんだ?」 「ほんの二、三分というところですの。ウェイブさん、状況はあなたの考えているとおりですわ。マスタングさんは一人であの場に残られました」 「だろうな。ちっ、カッコつけやがる。素直に俺も残せばいいのによ」 「ですが、あの状況では」 「わかってる。俺がいても状況は大して変わらなかっただろうさ。でも……変わるかもしれない。いいや、変えてみせるさ」 「今から戻るつもりですの?」 「黒子、お前は穂乃果たちを頼む。俺はマスタングを助けに」 「ダメッ!」 突然、穂乃果に遮られる。ウェイブは目を瞬かせた。 ややあって、穂乃果はウェイブが危険を冒してマスタングを助けに行くことが不満なのかと理解する。 「穂乃果、よく聞いてくれ。確かにマスタングは雪子を殺しちまった、だけど……」 「そうじゃない! そうじゃないよ! マスタングさんが残ったのは私のせいなの! 私がひどいこと言ったから! なのにウェイブさんまで危ない目に遭わせるなんて、そんなの!」 「穂乃果……」 ウェイブは己の思い違いを恥じた。穂乃果はウェイブだけでなく、マスタングの身も案じてくれている。 やはり根は優しい少女なのだ。捨て石となったマスタングの命を、他人事と割り切れないほどに。 「……そうだな。そうだよな。仲間って、そういうもんだよな」 「ウェイブさん?」 「でも穂乃果、やっぱり俺は行くよ。一人で戦ってるあいつを放ってはおけない。 後藤が追ってきてないってことは、まだ持ち堪えてるってことだ。だったら」 「私も行く!」 またもウェイブの言葉にかぶせるように、穂乃果が叫ぶ。 しかしそれは誰の予想にもない言葉だ。 「ほ、穂乃果ちゃん!?」 「おい穂乃果、厳しいこと言うがお前が行っても役には立たねえ。戦うのは俺がやるから、お前たちは」 「守られてばっかり、逃されてばっかりで、 誰かが私を守ろうとしてくれるのに、私は何もできない……そんなの、私、もう嫌なの!」 「だからって、お前に何が」 できるんだ、と言おうとしたウェイブの前に、穂乃果は背負っていたバッグをずいと差し出した。 「これ、ワンちゃんのバッグ。私が代わりに持ってたの」 開けろ、ということらしい。バッグを受け取ったウェイブが中を覗き込む。 『それ』を手に取る。ご丁寧に説明書きが付属していた。 一読したウェイブの顔色が変わる。 「おい、これ……!」 「それがあれば、私だって戦える。そうでしょ?」 絶望的だと思っていた戦いに、一筋の光明が指した。 これならば―― 「だから、私も!」 「わかった、穂乃果。みんなで行こう」 「ウェイブさん!?」 「聞いてくれ、黒子。もしかしたら、勝てるかもしれない。 いいや……勝つ。勝って、勝手なことしたマスタングの野郎をぶん殴ってやろうぜ」 穂乃果から渡されたイギーのバッグを背負い、マスタングは拳を掌に打ち付け気合を入れた。 あの憎たらしい顔に、今は感謝の感情しか表せそうにない。 「なあ、犬ころ。 お前の名前も俺は知らねえが、それでもこれはお前がくれた希望だと思うことにする。 だから、見てろよ。俺たちは必ず勝って、そんでお前の仇も取る! 見てろよ……!」 ヒヒッ。 あの笑い声が聞こえたような気がした。 ◆ 「……終わりだな」 後藤の前には、血溜まりの中に倒れ込んだマスタングの姿があった。 マスタングが仲間を逃して五分も経っていない。 否、単身で後藤を数分も押し留めたことこそを賞賛するべきか。 「勝手に、終わらせてくれるな。私はまだ生きているぞ」 地面に手をつき、震えながらもマスタングが身を起こす。 後藤はそれを阻むでもなく見下ろしていた。 「あのウェイブという男がいれば、まだ勝算はあったはずだ。何故お前だけが残った?」 「さあな……私もよくわからん。こういうのは私のキャラではないはずなのだが」 「やはり人間は理解し難いな」 「当たり前だ、人間だって人間を完全に理解しているわけではないのだぞ……お前のような化け物にわかられてたまるか」 言いながら、最後の発火布で火を点ける。 狙いは後藤……ではない。 「ぐぅっ」 噛み殺してもなお抑えられない声。焔は、マスタングの右腕を焼いた。 肘から下を切断された、右腕の傷口を。 分かたれた腕は、後藤が伸ばした刃の先に突き刺されている。 「俺に痛覚はないが、それでもそれは相当な痛みを伴うと推察する。ショック死しても不思議ではないが」 「あいにく……経験が……ある。二度目なら……耐え、られる」 意識も絶え絶えながら、眼だけは屈さず後藤を睨みつけて。 失血死することだけは防いだマスタングだが、戦闘続行が不可能なことは明白だった。 「まさか、私が、鋼のと同じ……隻腕になるとは、な。ロックベル嬢に、機械鎧を、用意してもらわねば……」 「掌を打ち合わせることももうできまい。ここからまだ何か打つ手を残しているか?」 「ふふ……残念ながら、ない。発火布も、使いきって、しまったしな」 「それでもお前の眼は死んではいない……工夫か。まだ何か仕掛けてくるか」 後藤が軽くバックステップし、マスタングから距離を取る。 仮にマスタングが何かしでかそうとしても、余裕を持って対応できる距離を。 「お前は中々手強かった。だが万全の状態ではなかったな。動作の一つ一つにぎこちなさが目立った」 「よく、観察しているな……そして油断もしない、か」 「寄生生物とて無敵ではない。お前という障害を排除できたのは大きな前進だ」 後藤は切り落としたマスタングの前腕部をためつすがめつし、検分している。 何かやるならどうぞやってみろ、そういうように。 「……やはり、ただの人間の腕だな。変わった様子もない。なのにあの焔か……」 一口かじって確かめてみても変哲のない人体そのもの。 勝利者である後藤はマスタングに勝ちはしたものの、異能の正体を理解するまでには至らない。 「まあいい。打つ手が無いのならこれで終わりだ」 「ああ……くそ。こんなことなら、私も煙草を吸っておくんだった。そうすれば、ライターを持ち込めただろうにな」 ぶつぶつと呟くマスタングに興味を失くし、後藤は刃と化した腕を振り下ろす。 しかしマスタングの首を落とす寸前、かすかな風切り音が後藤の耳を掠めた。 「――させるかぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 空、と後藤が気付いたときには既に硬質化した両腕を頭上へと掲げている。 直後、後藤の足が地面にわずかに沈み込むほどの衝撃が来た。 突如中空に現れ後藤に攻撃を仕掛けたのはのは、マスタングが逃がしたはずのウェイブに間違いない。 黒子の能力で察知の難しい上空に移動し、奇襲を仕掛けてきたのだった。 「ウェイブ……!?」 「生きてるな、マスタング!」 振り下ろした黒剣と後藤の刃を支点にして、ウェイブは空中で体勢を制御。鋭い蹴りを後藤の頭へ叩き込む。 ダメージはほとんどない。が、ウェイブは反動で飛び退り、マスタングの元へと着地した。 「バカな、何故来た! 私が何のために残ったと思っている!」 「くそっ、その怪我じゃさすがに殴れねえな。まあいい、後でしこたまぶん殴ってやっから覚悟しとけよマスタング」 「ふざけるな! 早く逃げろウェイブ、ここは私が」 「るせえッ! てめえこそふざけた真似してんじゃねえぞ!」 吐き出す怒声は後藤ではなくマスタングへ。 つい数分前にもこうやって背中にマスタングを庇っていたはずなのに、あまりにも状況が変わってしまった。 しかしそれでも、ウェイブの眼に絶望はない。 「俺も人のこと言えた義理はねえんだけどな。命を捨てて誰かを救う……そんなカッコいいことが、お前に許されると思ってんじゃねえぞ」 「何……?」 「俺たちは出会ったばかりで、俺はお前のことなんてほとんど知らねえ。お前も俺のことは知らねえだろう。 それでもたった一つ、俺とお前が共有するものがある……それだけは確信してる。マスタング、そいつが何かわかるか?」 後藤から視線を切らず、ウェイブは背後のマスタングへと言葉を投げる。 向かい合っているのは後藤でも、ウェイブがいま戦っている相手はマスタングだ。 「共有するもの、だと?」 「そうさ。勘違いでお前とやりあって、話して、そんでさっきの雪子って娘を殺しちまったときのお前を見て……。 俺の中にあるものが、お前の中にもある。それがはっきりとわかったんだ」 「何だというのだ。こんな、どうしようもなく愚かな私がお前と同じものを持っている? そんなはずは」 「ある! それは、お前が今も身につけてるその軍服が、証明してるはずだぜ」 マスタングは血と汗と泥に塗れた己の軍服を見下ろした。 ロイ・マスタングという個人を端的に表すには十分な、それは明確なシンボルだ。 「マスタング、お前軍人なんだろ。俺と同じな。まあ俺の場合、途中でイェーガーズに移籍したわけだけど……そこはどうでもいい。 お前、何のために軍人になったんだ?」 「何のために……それは……」 「お前はどうだかしらねえが、俺はこうだ。俺は、誰かを守りたかった。帝国には悪人以外にも人を喰うような危険種がうようよしてる。 家族とかダチとか故郷とか、おれはそういうのひっくるめて守りたいから軍人になった。お前は違うのか?」 ウェイブの問いに対し、マスタングの脳裏に浮かんだのは盟友であるマース・ヒューズの顔だった。 あのイシュヴァールの戦いで、友に語った密かな夢。 功績を挙げ、出世し、いずれ軍のトップになって、この国を変える――その根幹は。 ウェイブと同じ。力なき人を守りたい、そういう想いがあったからではないのか。 「軍人ってのはよ、逃げちゃいけねえんだ。命令に従うってのも大事だがよ、俺たちは守るべき誰かのために力を持つことを許されたんだ。 お前の錬金術、俺の剣術や体術、それに帝具……そういう全部、自分じゃない誰かのために使う。そのために鍛えてきたものじゃないのかよ」 「それは……」 「だからよ、マスタング。俺たちに、簡単に死を選ぶ権利なんてねえぞ。 俺たちは戦って戦って……死にかけたって何度でも立ち上がって、戦い続けなきゃいけねえんだ! くたばってる暇なんかねえッ! 立て、マスタングッ!」 自分より十は若い若造の青臭い言葉が、今はなんと――胸に響くことか。 一度は消えた瞳の中の火が、再度燃え上がっていくのを感じる。 マスタングは歯を食い縛り、ゆっくりと立ち上がった。 「言ってくれるな、青二才め……そうまで言われたら、くすぶっているわけにもいかん、な……!」 「へっ。世話焼かせんなよな」 後藤はマスタングが復活する様子を、邪魔するでもなく見届けた。 まだやる気というなら後藤に拒む理由はない。 「しかし、どうする? その男はもう立っているのがやっとだ。お前一人で俺の相手をするのか?」 「そうさ。さっきは情けないことにビビっちまったが……今度は違う。俺はもう逃げないぜ。 俺の本気を……この魔剣・エリュシデータの奥の手ってやつを見せてやる」 「奥の手か、楽しみだ」 相変わらず戦いを楽しむようなことを言うが、後藤の佇まいに隙はない。 「おい、どうするのだウェイブ。私はもう焔は出せんぞ……」 「任せとけよ……ほら、来たぞ!」 と、ウェイブが指し示す方向から迫ってくる巨大な影。 巨大化させたコロだ。そしてその上には、穂乃果と花陽が乗っている。 「コロちゃん、行けー!」 「い、行けー!」 顔を真っ赤にして叫ぶ穂乃果と花陽を見て、マスタングは卒倒しかけた。あの二人まで連れてきて、一体どうしようというのか。 しかしそれを問おうとした相手のウェイブは、既に剣を抜いて後藤に突進している。 ええいやむを得ん――と、マスタングは隠し持っていた最後の発火布を取り出し、片手で苦労しながらも装着した。 「自爆用に取っておいたものを、こんな形で使うことになるとは……!」 「おおおぉぉぉぉらあああああっ!」 ウェイブが気合一閃、重い斬撃を後藤に放つ。後藤が片腕を硬質化させ防御。 動きの止まった一瞬を狙って、その背後を取るように回り込んできたコロが、躍りかかる。 後藤はウェイブの剣に硬度を落とした刃を鞭のように絡め、力任せに引っ張る。 「おおおっ!?」 「ウェイブさん!」 コロが攻撃を中断し、ウェイブを受け止める。 そのすぐ前に後藤が迫る。マスタングが焔を放てば、確実に巻き込む位置に。 「工夫が足りなかったな」 言い捨て、ウェイブもろとも二人の少女を貫こうとした後藤。 その眼前から、コロの巨大な影が忽然と消え失せた。 「マスタング!」 「承知している……!」 声は、背後から。一瞬にして位置を変えた人間たち。ウェイブが叫ぶ。 マスタングは間髪入れず、全力で焔を放った。 ウェイブの攻撃。コロの突進、そして消失。これに対応するために二手、行動を消費している。 後藤は一旦仕切りなおすため、脚部を変化させ高く跳躍した。マスタングの片腕はもはやなく、素早い追撃は望めない。 そう判断した後藤を、人間たちは上回る。 「チェックメイト、ですの」 後藤と全く同じ位置に現れた最後の人間。 白井黒子という女が、手に持った石を後藤へと向けている。 足場のない空中ではこれ以上の方向転換はできない。 しかしこの人間の攻撃力ではさしたるダメージは負わないと、後藤は既に知っている。 ゆえに防御より攻撃を優先し、刃を伸ばしたところで。 「転移! 『アインクラッド』ですの!」 高らかに叫んだ黒子の手元の石が光り、それが消えて、瞬時に後藤の胸元へと現れて……それで、終わった。 後藤の姿は、影も形もなくなっていた。 イギーに支給されたもの、それは転移結晶(テレポートクリスタル)。 手に持って場所を指定することで、一人だけ任意の場所に移動することができるアイテム。 本来であれば使用者一人しか移動できないアイテムを、転移能力者である黒子が用いることによって、一発限りの強制テレポート弾としたのだった。 「……終わった、のか?」 「……終わった、な」 後に残ったのは、満足気なウェイブたちと呆然とするマスタングのみ。 そのマスタングに穂乃果が駆け寄っていく。 「マスタングさん、その腕……!」 「ああ、これか……いや、安いものだ。我々みなが生き残った代償としたらな」 息を呑んだ穂乃果の肩を、ウェイブが叩いた。 マスタングの腕は強引ながら止血がされている。いますぐどうこうなるものではない。とりあえず、危機は脱したのだ。 マスタングの切り落とされた腕はとりあえず回収しておいた。 と言って、接合する目処など立たないのだが、そういった技術や道具を有している人物がいないとも言い切れない。 放っておけばいずれ壊死して腐っていくだけだ。少しでも可能性があるなら切り捨てるわけにもいかない。 マスタングが残った左腕と血で苦労して錬成陣を描く。近くの川の水分を凍結させ、ブロック大の氷で右腕を冷凍保存した。 「マスタング、歩けるか? とにかくどこか、休める場所へ行くぞ」 「ああ、肩を貸してくれ。さすがに動きづらい」 「お安い御用だ……穂乃果」 「は、はいっ」 「時間はたっぷりある。マスタングを許すにしても許さないにしても、まずこいつと向かい合ってみてくれないか。 こいつが悪人じゃないってのは、お前だってわかってんだろ」 ウェイブに言われ、穂乃果はじっと、マスタングを見つめる。 マスタングは何も言わない。選ぶ権利は向こうにあると思っているから。 やがて、穂乃果は頷いた。 「……わかった。うん、まずはちゃんと話してみてから、だよね」 「穂乃果ちゃん!」 わだかまりは未だ消えていないが、それでも希望を繋ぐことができた。 それがこの戦いの報酬なのだと、ウェイブは黒子と顔を見合わせ笑う。 痛みはあれど、生まれたものも確かにある。 「クロメ。こいつらが俺の仲間だ。悪くないだろ?」 マスタングにも聞こえないほどの小さな声で、ウェイブは呟いた。 こいつらとなら、前を向いて歩いていける。そう思える。 だから、このときのウェイブはまだ、思いもしなかった。 絶望を告げる鐘の音が、もうすぐ響き渡ることに。 【B-6/1日目/早朝】 【高坂穂乃果@ラブライブ!】 [状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)、不安、マスタングに対する恐怖(やや薄れた) [装備]:練習着 [道具]:基本支給品、鏡@現実、イギーのデイパック(不明支給品0~2) 幻想御手入りの音楽プレーヤー@とある科学の超電磁砲、コーヒー味のチューインガム(1枚)@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース [思考・行動] 基本方針:μ sのメンバーを探す。 0:マスタングと話してみる。 1:C-5に立ち寄って凛(星空の方)を探す。 2:音ノ木坂学院へ向かう。 3:花陽と一緒に行動する。 [備考] ※参戦時期は少なくともμ sが9人揃ってからです。 ※イギーを「ただの犬」だと思っていましたが認識が変わってきています。 ※イギーの名前を知らず、「ワンちゃん」と呼んでいます。 ※『愚者』を見ました。 ※幻想御手はまだ使っていません。 ※ウェイブの知り合いを把握しました。 【小泉花陽@ラブライブ!】 [状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)、右腕に凍傷(処置済み、後遺症はありません) [装備]:音ノ木坂学院の制服 [道具]:デイパック、基本支給品、スタミナドリンク×5@アイドルマスター シンデレラガールズ スペシャル肉丼の丼@PERSONA4 the Animation [思考・行動] 基本方針:μ sのメンバーを探す。 1:C-5に立ち寄って凛(星空の方)を探す。 2:音ノ木坂学院へ向かう。 3:穂乃果と一緒に行動する。 [備考] ※参戦時期はアニメ第一期終了後。 【白井黒子@とある科学の超電磁砲】 [状態]:疲労(大)、精神的疲労(中) [装備]:なし [道具]:デイパック、基本支給品、スピリタス@ PSYCHO PASS-サイコパス- [思考・行動] 基本方針:お姉様や初春などの友人を探す。 1:出来るならばみんなのフォローに回りたい。 2:エンヴィーは倒すべき存在。 3:御坂を始めとする仲間との合流。 4:マスタングに対して――。 [備考] ※参戦時期は不明。 【ウェイブ@アカメが斬る!】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(大)、左肩に裂傷、怒り、悲しみ [装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン [道具]:基本支給品、タツミの写真詰め合わせ@アカメが斬る!、魔獣変化ヘカトンケイル@アカメが斬る! [思考・状況] 基本行動方針:ヒロカワの思惑通りには動かない。 0:キンブリーは必ず殺す。 1:ひとまず休息する。マスタングや黒子と情報を交換したい。 2:地図に書かれた施設を回って情報収集。脱出の手がかりになるものもチェックしておきたい。 3:首輪のサンプル、工具、グランシャリオは移動の過程で手に入れておく。 4:盗聴には注意。大事なことは筆談で情報を共有。 5:仲間たちとの合流。 6:今後の方針を固める。 [備考] ※参戦時期はセリュー死亡前のどこかです。 ※クロメの状態に気付きました。 ※ホムンクルスの存在を知りました。 【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(極大)、精神的疲労(極大)、左肩に穴(止血済み)、両足に銃槍(止血済み)、右前腕部切断(焼いて止血済み) [装備]:魚の燻製@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース [道具]:ディパック、基本支給品、冷凍されたロイ・マスタングの右腕 [思考] 基本:この下らんゲームを破壊し、生還する。 0:穂乃果と、そして仲間たちと話してみる。 1:エンヴィーを殺す。 2:エドワードと佐天の知り合いを探す。 3:ホムンクルスを警戒。 4:ゲームに乗っていない人間を探す。 [備考] ※参戦時期はアニメ終了後。 ※学園都市や超能力についての知識を得ました。 ※佐天のいた世界が自分のいた世界と別ではないかと疑っています。 ※即席発火手袋は本来のものに比べて材質や作りが劣るため使い捨てとなっています。 → 使い切りました。 ◆ 後藤の視界は先ほどと違う光景を捉えていた。 どうやら最後に受けたあの攻撃で違う場所に飛ばされたのだと、朧気ながら理解する。 「やってくれる。あれも人間の工夫か」 身体の各所に大したダメージがないことを確認し、後藤は黙々と歩き出した。 戦うに値する敵を求めて。 【H-3/アインクラッド/1日目/早朝】 【後藤@寄生獣 セイの格率】 [状態]:両腕にパンプキンの光線を受けた跡、全身を焼かれた跡、疲労(中) [装備]:なし [道具]:基本支給品、首輪探知機、拡声器、不明支給品0~1 [思考] 基本:優勝する。 1:泉新一、田村玲子に勝利。 2:異能者に対して強い関心と警戒(特に毒や炎、電撃)。 3:セリムを警戒しておく。 [備考] ※広川死亡以降からの参戦です。 ※首輪や制限などについては後の方にお任せします。 ※異能の能力差に対して興味を持っています。 ※会場が浮かんでいることを知りました。 ※探知機の範囲は狭いため同エリア内でも位置関係によっては捕捉できない場合があります。 ※デバイスをレーダー状態にしておくとバッテリーを消費するので常時使用はできません。 ※凜と蘇芳の首輪がC-5に放置されています。 ※敵の意識に対応する異能対策を習得しました。 転移結晶(テレポートクリスタル)@ソードアート・オンライン イギーに支給。手に持って任意の場所を指定することでその場所に移動できる。 対象は一人だけ、一度使えば消滅する。 時系列順で読む Back アンバーリファイン Next ダイヤモンドプリンセスの憂鬱 投下順で読む Back アンバーリファイン Next 第一回放送 069 消せない罪 ウェイブ 085 ツキアカリのミチシルベ 高坂穂乃果 小泉花陽 ロイ・マスタング 白井黒子 後藤 092 端緒
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エッカーツ・ロッドアンドカスタム GTアワード (SEMA) Mach Forty Image Credit Emula / Gran Turismo Archive メーカー エッカーツ・ロッドアンドカスタム(未作成) 英名 SEMA Eckerts Rod Custom Mach Forty 年式 なし エンジン エンジン形式(知らない場合は抜かしてよい) タイプ ロードカーグランツーリスモアワードミッドシップ カテゴリー N800 PP(初期値) 626.31 総排気量 5409cc 最高出力 799PS/6,500rpm 最大トルク 107.8kgfm/4,000rpm パワーウエイトレシオ XX.XXkg/PS 駆動形式 MR 吸気形式 SC 全長 4,561mm 全幅 1,983mm 全高 1,196mm 車両重量 1,588 重量バランス XX対XX トランスミッション 6速 最高速度 XXXKm/h (フルノーマル/フルチューン時) (知らない場合は抜かしてよい) 登場 グランツーリスモSPORTグランツーリスモ7 備考 マスタング・マッハ1+フォードGT=MRホットロッド 概要 見た目は1969年製フォード・マスタング・マッハ1のようでいて、実はまったくの別物。マスタング伝統のFRレイアウトを廃し、リアシートとトランクの置かれるスペースに、なんとフォードGTの5.4リッターV8スーパーチャージャーを押し込んだという、過激なミッドシップのホットロッドマシンである。 850馬力(ゲーム中では799PS)という最高出力に耐えるべく、ボディは強度や剛性を高めた新設計とし、足回りにはC6コルベット用を移植した。オーナーのデビッド・エッケルト氏は、フォードGTとマスタングに対する畏敬と愛情からこのマシンを作ったと語っており、フォードの2つのスポーツカーをドッキングさせた夢のマシンと言えよう。 我らがヤマウッツィ・カズノッリー氏に気に入られGTアワードを受賞。そのまま収録が決定した。 解説 2012年のGTアワード受賞車両。フォードGTの心臓を移植した超ド級マスタング アメリカ最大規模のカスタムカーの祭典・SEMAショーにおいて、毎年開催される「グランツーリスモ・アワード」。2012年の記念すべき第10回の大賞に選ばれたのは、エッカーツ・ロッドアンドカスタムの手による1台の1969年式フォード マスタングだった。 エッカーツ・ロッドアンドカスタムは、アメリカのオレゴン州で四世紀半以上もの間、マッスルカーやクラシックカーのレストーションやカスタマイズを手掛けてきたファクトリーだ。 Ⅿach Fortyと名付けられた受賞車は、一見、美しくレストアが施された第1世代のマスタング・ファストバックに思えるが、大賞に選ばれるだけあって、やはり中身は只者ではない。車体のほとんどを作り直すと同時に、リアシートからトランクにかけてのフロアをカットして、そこにリメイク版フォードGTのパワートレインを埋め込んだミッドシップカーとされているのだ。 スーパーチャージャー付き5.4L V8のパワーユニットもストックのままではなく、最大862 PSを発揮できるところまでチューンナップが施され、車内に備え付けられたダイヤルでおよそ608 PS~862 PSまで任意に選ぶことができる。その強力なパワーを受け止めるべくボディの各部に大幅な強化が加えられており、サスペンションはコルベット C6からの流用、さらにトラクションコントロールシステムも備え付けられている。 フォードの歴史に残る2台の名車を融合させた大胆なコンセプトと見事なフィニッシュ。まさしく第10回の大賞に相応しいマシンである。 マーティンによる評価 フォード マスタング Ⅿach1と GT40アメリカ自動車史に輝くこの2台をモチーフに作り出された作品ですこのⅯach Fortyを手がけたのは”エッカーツ・ロッドアンドカスタム”オレゴン州にあるカスタムファクトリーですベースは 1969年式フォード マスタングさらに ボディをフルカスタムフォードGT用のV8 5.4Lエンジンをミッドシップに搭載しています2012年のSEMAショーでグランツーリスモ・アワードに輝いた傑作です 神楽坂彦則による評価 ……俺の以前の名前は まだ俺の記憶が正しければ……フォード マスタング Ⅿach 1しばらく眠っていたようだが目覚めたら 何もかもが変わっちまっていたタイヤをアスファルトに思いきり擦り付けて走りたくて走りたくて いても立ってもいられない……俺の心臓が作り出すパワーは 昔の倍はあるタイヤも巨大化したし 幅も凄く広くなったんだもう自分が誰だか思い出すのも大変なんだ!ウィンドシールドや ヘッドライト周り テールエンド ドアの一部にかろうじて愛すべき昔の俺が残っていて……みんなそこが好きだっていってくれるあとはもう ありったけ詰め込んだモンスターで心臓の位置まで後ろに移しちまった…………Ⅿach Fortyそれが生まれ変わった俺の名だ 登場シリーズ グランツーリスモSPORT Cr.30,000,000で購入。 グランツーリスモ7 Cr.30,000,000で購入。 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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スタングレネード・SP 焼夷グレネード・改能力 生産条件 説明 活用方法 履歴 能力 属性:爆発 効果:スタン 威力:1500 爆発半径:4m 装填数:3 効果時間:2sec 生産条件 ハウンドクラス α 10 素材/STE 必要数 リアギディの帯電角 1 ブレマニウスの大巻貝 1 STE 100 説明 より強力な高電圧を発生させる事ができるスタングレネード。 起爆時間は少し長めになっている。 活用方法 上位変体のエネミーやアドミラルクラス相手ならこちら。 しかしアドミラルクラスには、スタンさせることで却って弱点を狙いづらくなる相手もいることに気をつけよう。 アドミラルクラスではニーズヘッグ、エクスマキナSVVに効果的。 履歴 2014/07/16 生産条件の変更
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ゴマ ◆yT0bo9RlK2 【NGワード】逃げられ寸前男の駆け込み寺287【タケシ】 685 名前: ゴマ ◆yT0bo9RlK2 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 42 15 今よろしいでしょうか? ◆現在の状況 嫁から離婚したいと言われている ◆最終的にどうしたいか 嫁と仲良く暮らしたい ◆相談者の年齢・職業・年収(手取り額) 31歳・自営・300万 ◆嫁の年齢・職業・年収(手取り額) 31歳・自営(俺とは別)・100万 ◆家賃・住宅ローンの状況 賃貸・12万 ◆貯金額 俺1000万・嫁不明 ◆借金額と借金の理由 無し ◆結婚年数 2年 ◆子供の人数・年齢・性別 無し ◆親と同居かどうか 別居 ◆相談者と嫁の離婚歴、あればその理由 お互い初婚 ◆離婚危機の原因の詳細(長くなっても思い付くものを全て書いて下さい) 嫁の暴言が原因でたびたび夫婦喧嘩になる→嫁が「あなたの事を嫌いになる前に離婚したい」。 こちらが我慢しているのに、いかにも嫁が我慢している風の言い分にビックリした。 それを告げてから、必要最低限以外口をきかなくなった。 687 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 45 33 暴言の発端はなんなんだ? 689 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 46 49 685 嫁の暴言の内容とか暴言のでるきっかけとは? 690 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 49 28 レス有難うございます。 喧嘩は日常のささいな事なのですが、大きいものに発展しがちです。 ご飯の味付け等に希望を言うと、「じゃあ、私は家事しないから、お小遣いくれて父親のように接してよ!」とか、 「私と離婚して、あなたのお母様と再婚されたらいかが?」等の暴言を吐きます。 こちらが冷静に言っても、すぐにキーッとなるので困っています。 692 名前: ゴマ ◆TtWCFObiCQ [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 50 10 すみませ、、690は私です 693 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 50 38 692 フシアナしろ 694 名前: ゴマ ◆QF2H1Pfwdg [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 50 54 すみません、690は私です。 697 名前: ゴマ ◆QF2H1Pfwdg [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 51 52 すみません、自分でつけたトリップなのに、間違えました。 698 名前: ゴマ ◆TtWCFObiCQ [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 53 47 フシアナですか? こちらのLRでしょうか? 嫁も2ちゃん見ているフシがあるので、フシアナには抵抗があります。 699 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 54 55 トリ付け忘れたり変えたり何やってんだよ 700 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 55 50 フシアナ断る言い訳考えるのも大変だな 702 名前: ゴマ ◆QF2H1Pfwdg [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 22 59 48 すみません・・・最初につけたトリわからなくなってしまいました。 こちらのトリでお願いします。 母と嫁を比べたりはしていませんが、我家のルールを教えたりはしています。 他にも「あなたのお母様は、あなたに何も教えてなかったの?」等嫌味をいいます。 こちらも家族をけなされると頭に来るので、喧嘩になります。 705 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 23 01 10 2ちゃん見てるならフシアナしなくてもバレるかもな 相談しない方がいい 706 名前: ゴマ ◆yT0bo9RlK2 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 23 01 27 すみません。 フシアナ必須のスレだとすると、こちらで相談乗っていただくのは難しそうですね。 中途半端な事をして申し訳ありませんでした。 嫁にも呼ばれているので、落ちます。 相談に乗ってくれかけた方、有難うございました。 708 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 23 02 31 トリ変えすぎだろw 709 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/06/24(火) 23 03 06 逃げたのかよ。 根性ないな…。
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117 扉の向こうへ ◆BEQBTq4Ltk 図書館へ足を進めるブラッドレイは何度か左掌を握ったり開いたりと動作を繰り返している。 数時間前に交戦した雷光の錬金術師――ではないが、電撃を操る少女、御坂美琴の一撃に左腕が不完全な状態に陥れられた。 痺れが残っている状態では実質片腕での戦闘を強要され、使えたとしても本調子とは呼べない。 左腕が回復していれば先のセリュー及び人造人間のような狗相手に時間を掛ける必要は無かっただろう。 ウェイブ、マスタングと敵が増え最終的には狡噛慎也までもがブラッドレイの敵に回っていた。 相手する敵全員が同盟を結んでいる訳ではないが、片腕が封じられている中での戦闘は好ましくない。 仮に近接戦闘をウェイブが担当し中距離から圧倒的な火力と殲滅範囲でマスタングとセリューが手を組み襲って来たら。 とてもではないが一度は死を覚悟するだろう。おまけに先の戦闘を一発の弾丸で終わらせた狡噛慎也もだ。 「これで左腕が使えるようになったか。雷光め、余計なことをしよって」 感覚が戻ったことを確認し、適当に風を切る動作で左腕を振り回す。 痛みも感じなければ動きに不自然さや違和感を感じることもない。この瞬間、ブラッドレイの左腕は痺れから開放された。 「図書館に行ったとして、居るのはタスクと本田未央の二人。 セリューとの戦闘によってあの一帯を自由に移動するには空でも飛ばん限り無理だ。 狡噛慎也達は一度図書館へ向かっている可能性が高いことを考えると――少し面倒なことになる」 タスクとの情報交換は殺し合いからの脱出に繋がる貴重な突破口の可能性を秘めている。 一緒に居る本田未央にそのような価値は無いがあの渋谷凛と同胞を考えると一人の人間として興味が湧いてくる。 なんにせよブラッドレイにとって図書館へ向かわない理由は少ないのだ。あったとしても時間を少々無駄にするだけである。 彼の足取を重くするのが狡噛慎也を始めとする自分の正体を知っている参加者である。 ホムンクルスであることをわざわざ自ら宣言する必要も無く、ブラッドレイは一人の人間として振舞っている。 しかしロイ・マスタングはホムンクルスの情報を的確に他の参加者へ伝えており、素性が一部の参加者に筒抜け状態である。 恐らく大佐から話を聞いた白井黒子達が狡噛慎也にブラッドレイの正体を告げ、セリュー戦へ投入した可能性もある。 「狡噛慎也は私を敵として認識している。マスタング大佐から話を聞いたウェイブやセリューも同じだろう。 彼らが何処まで広めたかは知らんが……全く。殺す必要が無い人間まで手を掛けることはしたくないんだがね」 ブラッドレイの方針は殺し合いから脱出すること。 父上の下へ帰還し、来るべき約束の日に備え己の義務と使命を全うすることである。 そのために犠牲を祓うことに心が傷付くことはなく、斬り捨てる人間は問答無用で斬り捨てる。 ブラッドレイがその手で殺害した参加者は二人。両者女性であり幼き子供であった。 美遊・エーデルフェルトと渋谷凛。 前者は園田海未を逃がすために全力を持って立ち向かってきた少女。 後者である渋谷凛は力を持たない人間であったが、その信念は天晴であった。 ブラッドレイが渋谷凛を殺害したことは誰も知らない。 しかし美遊・エーデルフェルトを殺害したことを知っている参加者――園田海未がいる。 彼女自身の名前は放送で呼ばれており既に死んでいる。だが情報は漏れているだろう。 音ノ木坂学院付近で彼女と接触した参加者はブラッドレイを危険人物として認識している可能性が高い。 地図上では図書館と音ノ木坂学院はそれ程遠くない。 既にブラッドレイの情報が広まっている可能性もある。 なんにせよ移動を遅らせる理由は存在しない。足を図書館へ進めるだけだ。 (地図……国土錬成陣のような配置で建物は置かれてはいない、な。考え過ぎか) セリム・ブラッドレイ。 名簿に載せられている名前に違和感を覚える。 彼を参加させる理由は一体何なのか――参加させてどうするつもりなのか。 謎が多い殺し合いの中、答えを得るには主催者との接触が必要不可欠だろう。 交錯する情報の中で信じれる物はどんな状況、どんな世界であれど己のみ。 自分の直感を信じれない者に未来など訪れることはなく、ブラッドレイ自身が確認しなければならない。 他人の又聞きだけでは対象の人間性も解らない。一方的な情報は恐ろしい物だ。 現にブラッドレイがマスタングに抱いている感情には齟齬が発生している。 やはり目を覚ましたら対話が必要であろう。 出来れば邪魔が入らない場所で情報を確認し、現状の打開を図るべきだ。 その後に脱出策を練っても遅くはないはずだ。 しかし脱出に当って無理に死者を出す必要が無いならば。 ブラッドレイがその刃を振るうことは大幅に減少されるだろう。 「平行世界……信じられんが真理とやらに広がる一つの可能性とでも捉えようかね。 参加者の多くがアメストリス出身ではなく――私とは関係ない世界の人間ならば殺す必要は無いかもしれん」 存在を知られていようと害はない。ホムンクルスの情報を持ち帰られても所詮は干渉出来ない他人の世界だ。 そもそも軍内部に事情を知っている人間だっている。敵であるエドワードやマスタングでさえもブラッドレイがホムンクルスであることを認識している。 けれど殆どの人間が初対面となる殺し合いの状況で、人外のレッテルを貼られると行動に支障が生まれてしまう。 最初から警戒されていれば情報交換はおろか、落ち着いて会話することさえままならない可能性がある。 「……ふむ。首輪を外す或いは脱出に使える人間を殺す必要はない。 だが何も進展が生まれないとすれば――主催者に会うしか方法はあるまい」 広川。 自分を含む多くの参加者を招き殺し合いを開催した始まりの男。 今回の真実を知るには彼との接触が不可欠である。主催者が彼なのか、将又複数人なのか。それさえも分かっていない。 「平行世界とマスタング大佐の話……全てが成立するとなれば広川は未来過去現在……時間を超えることが出来るかもしれん」 ブラッドレイが知っているマスタング大佐はホムンクルスに仇なす人類側の敵であった。 計画のために無理矢理にでも人体錬成を行わさせ、人柱にし父上の礎にさせようとしていた。 しかし実際に出会ったマスタングは手合せ錬成を行っていたのだ。 真理に触れた者が行える錬成――つまりロイ・マスタングは人体錬成を犯していることになる。 大切な人間の窮地に居合わせれば彼は人体錬成を行うと見積もっていたが、何故なのか。 話を更に聞けばホムンクルスは全て死んだ、エンヴィーだけではなくお前も生き返った……まるで未来から来たようなことを言っていた。 「エンヴィー、プライド、グリード、スロウス、父上……それにキンブリーも死んでいただろう。 マスタング大佐やエドワード・エルリックの『世界』では約束の日を超えることは出来なかった、と」 頭が回る男だ。未来を見据えた若き野心家であるマスタング大佐ならば口を回し心理戦を仕掛けるかもしれない。 だがあの状況で、セリューが暴れ回り、死者が出ている状況でそんなことを仕掛けるとは思えない。 「エンヴィーに嵌められて参加者を殺したらしいな。今更一人殺したことで心を弱める男でもあるまい。 そうで無ければ戦場で背後を取られるか、軍を退役しているか。 どこぞの少佐と違って彼は逃走を選ばなかったからな。やはり――彼が言っていた話は『事実』と捉えて間違い」 面倒な状況になっている。それも自分が干渉出来ない次元の話であることが理不尽さを強調する。 エドワード・エルリック、ロイ・マスタング、キング・ブラッドレイ……彼らが存在していた世界の結末はホムンクルスの敗北らしい。 信じられない――訳ではないが、一つの可能性としては受け入れられる。人間が勝っただけの話と捉えればいい。 奇妙な点と云えば何故ロイ・マスタングが未来から参加しているのか。 彼と接触した際の短い会話から察するにエンヴィーは死後から参加しているらしい。 ホムンクルスならば新しい容れ物宿った考えれば納得出来る話だが。容姿に触れておらずに、生き返ったと言っていた。 「時間移動と蘇生……錬金術を超えた力を持っているというのかね、広川は」 完全なる人体の復元。ホムンクルスと云った異形ではなく有りの儘に再現する力。 彼の口振りからデメリットは特に感じられず、説明していないだけの可能性もあるが。 時間移動が可能ならばそれは神の力と称しても過言ではない。マスタングとブラッドレイの認識の齟齬が可能性を現実へ駆り立てる。 殺し合いに生き残れば願いが叶う。 その願いに係る代償が零であり、不可能な事象が無いとなればこの上ない魅力的な話である。 「実に魅力的だがわざわざ忠誠を誓い貴様の奴隷に成り下がるつもりは無いがね。 この首輪を外せば貴様の命令なぞ誰が受け入れるか。こんなモノで私を飼い慣らせると思うなよ」 しかしブラッドレイの主――父上は一人である。故に彼が他の存在に頭を垂れることはない。 思い通りに殺戮劇を演じる人形ではなく、この男は一人の人間でありホムンクルスであるのだ。 己の意思で行動し、己の力で生き抜き、己の信念を以って死んでいくだろう。 「私は貴様の計画――殺し合いを潰してやっても構わない。 本当に最後の一人しか帰れないのならば他のホムンクルスを殺してでも貴様に会ってやろうではないか。 ……とは言ってもそんな状況になる前に志ある若者達が何とかするかもしれんがな。 まぁいい。どうせ盗聴しているのだろう? だからこうしてペラペラ喋ってやったぞ。 先の放送で死者を読み上げたが……監視も付いているとなれば隠す必要がないのでな。 知っての通りだとは思うが――約束の日を迎えるまでこの老体、朽ち果てる訳にはいかないのだよ」 自分が殺した人間を読み上げた広川。 この情報は漏れておらず、ブラッドレイ――参加者の行動が監視されていることの証明だ。 大方首輪に盗聴機能や生存を認識する機能が組み込まれているに違いない。 その仮設を踏まえた上でブラッドレイは首輪に語り掛けていた。声を聴いているであろう広川へ向けて。 彼に従うつもりはないが、殺し合いを放棄する宣言ではない。 帰る方法が殺し合いの優勝ならブラッドレイはその刃を赤く染め上げる。戸惑いも後悔も存在しない。 タスクのような首輪を外せる可能性を持った参加者が居れば無駄に血を流す必要は無いのだが。 (さて――首輪と云えばだがマスタング大佐が外していないと云うことは錬金術では不可能だったか。 平行世界が本当なら知識が圧倒的に足りないのだろう……ふむ、早く目を覚ましてもらわなければ面倒な――ん?) マスタング大佐。 ブラッドレイが所有しているバッグの中に収まっている人柱候補だったはずの男。 知らぬ間に人体錬成を行い真理に触れていた男はどうやら未来から来たらしい。 全てを確かめるために本人と会話を行いたいが目を覚ましておらず、このまま行けば図書館で面倒なことになるかもしれない。 タスク達と会話をしている間に焔を出されては何一つ有り難いことがない。唯でさえ狡噛慎也やウェイブ、小泉花陽が先に接触しているかもしれないのに。 そして懸念点は更に増えてしまった。 (これは糸……向かう先は――セリュー・ユビキタスと交戦した場所へ向かっているな) 今後の方針や考えを整理しながら歩いていた時、不意に視線に映ったのは日光を反射する一つの線。 それはブラッドレイの進路先から回収され彼が歩いてきた道を戻っていた。 (セリュー・ユビキタスが生きているのか? 死体は確認していないが……ッ!) 死体。 セリュー・ユビキタスの死体は奈落の底へ落とされてしまい、確認をしていない。 それに大量のミサイルが爆発したあの状況では死体の一つにそこまで気を配れる訳がない。 今、戦場跡地にある死体は二つ。 一つはセリュー・ユビキタスが殺害した由比ヶ浜結衣。 鉄球で首を吹き飛ばされ、残った身体も蹴られてしまい原型を留めていないだろう。 もう一つの死体が島村卯月の死体である。 由比ヶ浜結衣が放ったショットガンによって身体を吹き飛ばされて死んでしまった彼女。 経緯は不明だがセリュー・ユビキタスに依存しており、彼女が死んだ今、島村卯月が生きていても辛いだけだ。 (島村卯月……身体を吹き飛ばされただけだ。血が一切出ておらん) ブラッドレイは思い出す、島村卯月がショットガンによって吹き飛ばされた瞬間を。 あの時、血は出ていたのか。鮮血は舞っていたのか。 答えは否。 考えられるのは島村卯月が服の下に何かを隠していたこと。或いは人外の存在だが後者は有り得ないだろう。 あの場に向かう糸、生きていると推測される島村卯月。 彼女が糸を回収しているとして何をやろうとしていたのか……不明である。 渋谷凛と同胞である島村卯月。セリュー・ユビキタスに依存していた彼女だがこうも行動するとは予想が付かない。 形はどうであれ強い意思を持っているのは確かである。それが他者に依る物かは不明であるが。 (まぁいい。今から戻っても意味は無い。彼女は私を危険人物と認識してしまったからな……それは図書館に居る人間も同じになる可能性が高い) ウェイブ達が合流していたら自分の素性が明かされてしまい、厄介極まりないことになる。 無駄な戦闘は行いたくない。というよりも必要以上に暴れる必要が無い。 脱出出来ればそれでブラッドレイの問題は大方解決してしまう。残された参加者がどうなろうと彼には関係ない。 そのためにも首輪を外せる可能性を持ったタスクと合流するために図書館へ向かう。 (糸……セリューと共にいたあの狗もそうだがまさか……回収してみる価値はあるか) 先程見かけた糸とセリューを守っていた狗――コロと対峙した時、ブラッドレイはナニカを感じていた。 そのナニカは彼がアメストリスでも感じているとある物に似ていた。しかし彼の知る世界にあのような狗は存在しない。 平行世界の欠片……彼の知らない技術が使われたアレの可能性も在る。出来れば回収したいものだ。 「少々急ぐとしようかね……くれぐれも馬鹿なタイミングで目を覚まさないように、な」 己のバッグに視線を配るとブラッドレイは図書館へ急ぐように速度を引き上げた。 【D-5/一日目/昼】 【キング・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(大)、腕に刺傷(処置済)、両腕に火傷 [装備]: [道具]:基本支給品、不明支給品0~2(刀剣類は無し) デスガンの刺剣(先端数センチ欠損)、カゲミツG4@ソードアート・オンライン 、ロイ・マスタング [思考] 基本:生き残り司令部へと帰還する。そのための手段は問わない。 1:図書館に向かいタスクらと一旦合流する。 2:稀有な能力を持つ者は生かし、そうでなければ斬り捨てる。ただし悪評が無闇に立つことは避ける。 3:プライド、エンヴィーとの合流。特にプライドは急いで探す。 4:エドワード・エルリック、ロイ・マスタング、有益な情報、技術、帰還手段の心得を持つ者は確保。現状の候補者はタスク、アンジュ、余裕があれば白井黒子も。 5:エンブリヲは殺さず、プライドに食わせて能力を簒奪する。 6:御坂は泳がしておく。島村卯月は放置。 7:マスタングが目を覚ましたら認識の齟齬について問い正す。 8:自分が不利だと判断した場合は殺し合いの優勝を狙うが…… 9:糸や狗(帝具)は余裕があれば回収したい。 [備考] ※未央、タスク、黒子、狡噛、穂乃果と情報を交換しました。 ※御坂と休戦を結びました。 ※超能力に興味をいだきました。 「ふむ」 足を止めたブラッドレイは声を漏らしバッグへ視線を落とす。間が生まれた後に言葉を発した。 「マスタング大佐が入っているが……質量は何処に飛ばされて……まぁいい」 「……此処はまさかバッグの中か?」 目を覚ますと同時に身体を起こし、周囲を伺い自分が置かれている状況を確認するマスタング。 自分が倒れていたのは瓦礫の上。天井は存在しない暗闇。数歩動けば瓦礫は無くなり血の海が広がっている。 天井が無ければ、この様子だと壁も存在していないのかもしれない。記憶どおりならばブラッドレイに気絶させられバッグに収納されていたはず。 「これはブラッドレイが持っていた剣……どうやら本当にバッグの中に私は居るのか」 賢者の石を使用し気を失った時もバッグの中に収納されていたが、あの時、意識は回復しなかった。 酷い振動感に襲われた後、気付けば自分は外で倒れており近くにいたウェイブに肩を貸してもらっていた。 こうしてバッグの中で目を覚ますのは初めてであり、嫌でも殺し合いの異常さを思い知ることになる。 「質量を無視して人体をも収納出来るバッグか……全く広川はどんな力を持っているんだ」 錬金術ではない異能の力。 天城雪子のようなペルソナかもしれないし、セリュー・ユビキタスが使用していた帝具かもしれない。 「錬金術……この場所、私は一度来たことがある……? それは賢者の石を使った時ではなく、そうだ。アメストリスの時に、まだ殺し合いに巻き込まれていない時に――」 身体を襲う謎の感覚は過去に一度体験したかのように、マスタングにとって何か知っているような感覚であった。 しかしそれが何時襲われたのか、どのような状況で体験したかが思い出せず、結果として答えに辿り着けない。 『肝心な所が思い出せない? だから無能って言われんだよ大佐』 などと鋼の錬金術師が言いそうで苛立ちが胸の中を駆け回る。そして実際にその台詞を目の前の異形に言われマスタングは臨戦態勢に移行する。 「貴様は」 『エンヴィー……とでも言うつもりか?」 「わざわざ私の姿に变化する必要もあるまい。 貴様は誰だ、どうして私の姿をしている。そして此処は何処だ答えろ」 『我は影、真なる我――そう呼んでもらって構わない」 「その説明じゃ解らんぞ」 マスタングの前に現れたのはマスタング――の姿をしたナニカである。 鏡と対面しているような感覚で、ナニカはマスタングと同じ声、同じ仕草で語っている。 『本来ならばオリジナルであるロイ・マスタングの隠し殺している本性が現れるのだが……』 「ほう、ならば貴様は私自身であると?」 『そのとおりだ。マヨナカテレビと呼ばれる空間でのみ現れるのだが、バッグの中は様々な理論が組み合わさった異色の空間になっている』 「だから貴様の説明は解らんと言っている。もっと砕いて話せ……でないと燃やす」 『我ながら哀しいな。敵意を剥き出しにしては話し合いも進まない。 全く……人体までもが収納出来るバッグなどご都合主義もいいところだとは思わないか? 目が覚めた時点である程度予測はついていると思うが、この空間はアメストリスだけの価値観では語れない。色々な世界が混ざりあっているからな。 ……呼び名が無ければ混乱するだろう、私のことはシャドウと呼べ』 シャドウと名乗った存在の言葉を頭の中で整理するマスタングだが全てが雑音にしか聞こえない。 しかしこの状況自体が雑音のような理解に苦しむ現状なのも事実であり、全てを受け入れなくてはならないらしい。 国を統べる器ならば嫌なことは見ない。そのような子供の理論が通じる筈がない。目を背けるな。 手で顎を抑えるとマスタングは一人、状況を整理する。 (シャドウと名乗ったこの男だが……言っていることが嘘か本当か解らん) 判断材料が少な過ぎる。バッグの中なのは確実のようだがそれすら正しいかどうかも解らない。 だが否定から始まっては何一つ進展しないため、今は状況の理解に務める。 (『色々な世界が混ざりあっている』……聞いたことのない超能力の理論や学園都市が該当するな。 佐天君や白井君が嘘をついているとは思えん。天城君のペルソナだって私の知らない力だったな) アメストリスではない何処か遠い国……ではなく世界を包む次元が異なる異形の地に拉致された可能性が高い。 それはマスタングや鋼の錬金術師だけはなく佐天涙子や白井黒子、小泉花陽やウェイブも一緒である。 知らない世界の人間達ならば自分の世界で該当するところの錬金術に連なる能力があっても不思議な話ではない。 (私が交戦した後藤もホムンクルスではなく別の世界の怪物という訳か) 故に自分の知識だけで太極を見極めるのは至難であり、強行するのは愚かである。 つまり見境無しにエンヴィーを警戒する行為は仕方が無い側面もあるが実に非効率であり、他者に不快感を与える行動だった。 自分の行いを省み、マスタングの頬を汗が伝う。もう一度高坂穂乃果達に合流することがあれば謝罪を行わければ。 (マヨナカテレビ、これは知らん。 奴はご都合主義空間と言ったが確かにこのバッグの中は何でも収納出来る……何でもアリだな) 質量を無視して収納出来るバッグは異形を象徴する一つの要素である。 戦争にこんな物を持ち込めば簡単に他国を制圧することが可能だろう。何せ人体まで収納出来るのだから。 「一つ聞くが本当にバッグの中か? 以前、私は気付かなかったが」 『あん時は気絶してたろ。自分の意志で出ることは不可能だからなこのバッグ』 (バッグの中で確定としておこうか。そして自分の意志で脱出は不可能、と) 自分が置かれている状況に脱出不可の記号を加え更に脳内を回転させる。 (シャドウ、つまり影か。私自身を写す鏡……) 『自分にジロジロ見られるのはあまりいい気がしないな』 「貴様、私の影と言ったな。どの部分が影なんだ」 『言った通り本来ならばお前自身の影――心の奥に殺されている本性が実体化する。 だが今のロイ・マスタングにとって何が光か何が影かハッキリしていないからな』 「……?」 『ついでに言っておくがシャドウと対面するにはオリジナル自身が極限状態まで追い込まれないと現れんぞ。 そもそもこの空間で意識を保っていられればの話しだが……その顔ではまだ飲み込めていないようだな?』 「………………」 『解らないか? 約束の日、ロイ・マスタングは怒りに身を任せてエンヴィーを殺そうとした。 一国の頭を目指す男が復讐心で誰かを殺そうとしたんだ……そんな男に国が背負えるのか? そう鋼のや中尉、スカーに言われたはずだ。 なのにお前はエンヴィーを見た瞬間、昔の顔に戻ってしまった。悪魔のような、そもそもヒューズを生き返らせようなど有り得ないぞ』 シャドウが一人でマスタングが殺し合いに巻き込まれてから行った所業を紛糾していた。 その間マスタングは一切口を開かずに黙って彼の話を聞いていた。 発言を促されてから、マスタングはその口を開き自分の意思を言葉にした。 「貴様の言っている通りで自分に腹が立つ」 『……今のロイ・マスタングなら激情に流されるままに焔で焼き尽くすと思ったが』 「確かにそうしたい所だが……私は何度も愚かな行いを繰り返すつもりはない。 エンヴィーに固執していたのは事実だ、認めよう。だがあいつとは不本意ながらも決着をつけて私も受け入れた。 ならばもう一度、今度は復讐心に全てを委ねないで私の手で――また引導を渡してやるだけだ」 拳を握りマスタングは己の弱さを受け入れた。 佐天涙子が死んだのも、天城雪子が死んだのも、由比ヶ浜結衣が死んだのも己が弱いからだ。 特に天城雪子に関しては関係者や親しい存在に対する言い訳など存在しない。全ては自分が原因である。 だが、マスタングは足を止めない。 此処で足を止めるならばとうにイシュヴァールの時点で軍を退役している。 今更人を殺した程度で自我を崩壊させる程脆く、弱い人間ではない。そして。 「色々な世界からの人間が巻き込まれて居るのなら私達は本来出会わないことになる。 私と出会ったことが原因で死んでしまった彼女達――私が殺してしまった天城雪子君。 その罪と彼女達の証を背負って私はこの殺し合いを潰して生き抜いていくしかないんだ」 『説明が下手だな』 「死んだ者達の分も生き抜いてこの殺し合いを破壊すると言っている。 私はもう止まることは許されない。そして愚かな行為を行うことも、な」 決意。 既に固めていた信念を言葉にすることによって一層固く己の中で位置付ける。 『なら全員殺して願いを叶えるのか?』 「本気で言っている訳でもないだろうシャドウ。 私は救える人間は全員救う……いや、この手が届く範囲で全ての人間を救ってやる。 だが、貴様が言っていた通り、エンヴィーを見てからの私は情けなくて愚者その者だった。 最初の間は自分の身を守りつつ、必要があれば自分の事をフォローして行かなければならない」 事故とは言えマスタングが天城雪子を殺したのは事実だ。 その罪は消えること無く、マスタングを永遠に縛り付ける証となっている。 彼に対して不信感を抱く者もいるだろう。一度参加者を焼き殺した人間火炎放射器だ、近寄りたくない。 説明も踏まえマスタングはこれからの茨の道を進むことになるだろう。下手をしたら殺人鬼以上に警戒されてしまうかもしれない。 『……冷静さだけはあるようだな』 「自分で自分を燃やす趣味はない……確かに気持ち悪いと思っているのは事実だが」 『その冷静さもエンヴィーと遭遇すれば無能に成り果てるがな』 「余計なお世話だ」 マスタングは掌を合わせると血の海から剣を一本錬成し大地に突き刺した。 剣先で何かの術式を書くように動かしながらシャドウに話し掛ける。 「お前はさっきマヨナカテレビと言っていたが此処はそのマヨナカテレビとやらが大半を占めているのか?」 『いや、あくまでマヨナカテレビは構成している一つの要素に過ぎない 「ならばこの空間の大半を占めているのは――合っているか?」 『合っているも何も錬成陣描いている時点で察しがついているだろうに ――お前の予想通りこの空間は『擬似・真理の扉』の要素が一番占めているかもしれない』 「勿体ぶらず答えを言え」 『真理に触れたのだろう? ならば自分で考えたまえ』 マスタングが目を覚ました時に感じた既視感はアメストリスで行われていた。 セントラルに攻め込んだ際、人柱達がお父様の元へ送られた後にブラッドレイとセリムに襲撃された時。 ラースとプライドによって強制的に人体錬成を行ってしまったマスタングは真理に触れてしまった。 その時だ。 「擬似・真理の扉か……鋼のから聞いたことがある。 私や中尉、ノックス先生がグラトニーから逃げた後にリン・ヤオとエンヴィー諸共飲み込まれてしまったと。 それはお父様が創りあげた擬似・真理の扉だった……だが何故此処がその空間に似ているんだ?」 『同じセリフを言わせるな、自分で考えろ』 (いちいち癪に障る奴だな……) 結果としてマスタングが最初に感じた感覚の予測は当たった。 しかし答えが解っただけで肝心な方程式が解らない。広川は何故、どうやって、何のためにバッグを擬似・真理の扉に繋げたのかも解らない。 だが質量を無視するという点では、この空間に繋げれば何でも入るだろう。どうやって取り出しているかは不明ではあるが。 鋼の錬金術師も出る際には人体錬成を行わなければ出れなかったらしい。エンヴィーも脱出を諦めていたと云う。 自分の意思で出れないのは支給品と同じ扱いなのだろう。他人に出されるか先のようにアクシデントでも無ければ脱出は不可能と考えていい。 しかし考えれば考える程異質である。何故此処に擬似・真理の扉があるのか。 そもそも何故殺し合いを行っているのか……どうやら嫌でも広川に会わなければならないらしい。 『帰るつもりか?』 「賢者の石がまだ余っている。不本意ではあるが使わせてもらうさ」 錬成陣を書き終えたマスタングは賢者の石を取り出し一つの覚悟を決める。 (バッグの中だが私は私のバッグを持っているのだな……まぁいい) 掌を合わせ一度無理矢理に発動した禁忌を今、マスタングは未来へ生きるために行使する。 「なぁシャドウ。私はこれから何処に出る?」 『無事に行けばキング・ブラッドレイのバッグから飛び出すだろう。恐らく激戦区に』 タイミングが悪ければマスタングは危険人物としての登場になるかもしれない。 もしそうであればブラッドレイに殺され、彼を英雄に演出する人形にされるかもしれない。 「そうか――もう此方に来ない事を祈っている」 『此方のセリフだ……次来る時は己を保て。 光が輝いていなければ影は小さい。乗っ取ることも出来んからな』 「強欲のような奴だ……私自身ではあるがな!」 赤い閃光が周囲に満ち溢れた時、異形の黒き瞳が錬成陣に現れた。 (賢者の石にさせられた――貴方達の生命、私が使わせてもらいます) 無数の影がマスタングを呑み込んでいき、擬似・真理の扉と呼ばれた空間には誰も残らない。 彼は影――マスタングが消えればシャドウも消える。 「半ば強引にやってみたが……成功、か」 マスタングが目を覚ました時、彼を包むのは一面に広がる白、或いは透明の空間。 何処までも広がる感覚は先のバッグの中に似ており、色合い的には光と闇を演出しているようだ。 そんな空間で異質を放つのが石で構成されているような大きな扉。真理の扉と呼ばれるそれ。 そしてその前で座り込み此方を睨んでいる真理だけであった。 『こうやって面を向き合って話すのは初めてだな錬金術師』 「貴様が真理だな。鋼のから聞いたことがある。一度会ったのはセントラルで人体錬成を勝手にやらされてしまった時以来だな」 『以来って言ってもそう簡単に何度も来る所じゃないけどな』 本来ならばマスタングが出逢うことの無かった存在。辿り着く予定も無かった境地である。 大切な人を救うために人体錬成を選択するマスタングはエンヴィーとの決着を終えて死んだ。 彼が人体錬成を発動してしまったのはホムンクルスによって強制的に扉を開かさせられたからだ。 最も殺し合いに巻き込まれてからマスタングはエンヴィーとの再開を得て、一時期復讐鬼になってしまっていた。 己の影との会話で冷静さと本来の心情を取り戻しているため、同じ過ちを繰り返すことは無いと思われるが。 「あの場所から人体錬成を行っても貴様に会えるのか?」 『さぁな、そもそもお前は何で此処に来たんだ? まぁいいか。お前は後ろの扉を通って外に戻るだけだ』 「確かに何故真理の扉前に飛ばされているかは疑問――後ろだと?」 真理が指した指先を辿るように振り向いたマスタングの目の前には扉が広がっていた。 そして真理の方へ向き直ると、彼の背後にも扉が広がっているではないか。 「何故真理が二つある、真理とは一つではないのか!?」 『お前や鋼の錬金術師達には二つあるんだよ、じゃあな』 「シャドウといいどうして誰も解るように説明を――チッ!」 真理の空間に居るのに答えを知れないとは理不尽だな。と、悪態を零したい状況ではあるが時間が無い。 背後の扉から這い出てくる無数の影がマスタングを中へ引き摺り込む。 腕を伸ばして粘ることも諦めたマスタングは黙って現状を受け入れる選択を取った。 彼が最後に見たのは笑いながら手を振る真理の姿であった。 (私が次に目を覚ます時、ブラッドレイのバッグから飛び出すのだろう) 誰が居るかは不明である。当初通りであればウェイブ達と合流しているだろう。 しかしブラッドレイが到達することを考えると血が流れるのは確実である。 彼にマスタングの未来――約束の日の結末を伝えればどのような反応を取るのか。 戦闘の際に告げているが、詳細は説明していない。改めて対話の場を設ければいいのだがどうだろうか。 相手はホムンクルスだ。マスタングがバッグから出た瞬間、彼の行動次第で殺し合いが大きく動くだろう。 (佐天涙子、天城雪子、島村卯月、由比ヶ浜結衣……名も知らない犬、賢者の石にさせられた人達。 仇を取れるかどうかは知らんが、君達の存在を私は忘れない。そして罪も背負って生きる。 私がそちらに行くにはまだ早過ぎるんだ。全てを終わらせた後で――今は黙って天から見ていてくれ) 次にマスタングが目を覚ます時。 それは殺し合いにおいて一つの佳境であり、正念場であり、太極を見極める重要な場面であろう。 【???/昼/一日目】 【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)、セリューへの警戒、迷わない決意、過去の自分に対する反省 [装備]:魚の燻製@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース [道具]:ディパック、基本支給品、錬成した剣 [思考] 基本:この下らんゲームを破壊し、生還する。 0:殺し合いを破壊するために仲間を集う。もう復讐心で戦わない。 1:飛び出した先で穏便に情報交換を済ませる。 2:ホムンクルスを警戒。ブラッドレイとは一度話をする。 3:エンヴィーと遭遇したら全ての決着をつけるために殺す。 4:鋼のを含む仲間の捜索。 5:死者の上に立っているならばその死者のためにも生きる。 [備考] ※参戦時期はアニメ終了後。 ※学園都市や超能力についての知識を得ました。 ※佐天のいた世界が自分のいた世界と別ではないかと疑っています。 ※並行世界の可能性を知りました。 ※バッグの中が擬似・真理の扉に繋がっていることを知りました。 ※次にマスタングが登場するのはバッグから飛び出した時です。(書き手向け) 時系列順で読む Back ダイアモンドの犬たち Next 調律者は人の夢を見ない… 投下順で読む Back ダイアモンドの犬たち Next 調律者は人の夢を見ない… 100 正義執行 ロイ・マスタング 122 ここがいわゆる正念場 キング・ブラッドレイ
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CallofDuty4 #1 JP/n Cod4#1 fraghighlight by carrera4s 1回戦 CR_TMZ vs SweEt 2回戦 Gamer vs Presents 準決勝 Onslaught vs Revolution Per Minute 決勝戦 Onslaught vs Team Revenge CallofDuty BlackOps#1 JapanPlayersNight_CoD BO#1ダイジェストフラグムービーby Pan2
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